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「飢え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飢えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
前後をめぐって、無二無三に打ち合い始めた。その中にまた、狩犬がけたたましく、血に飢えた声を響かせて、戦いはいずれが勝つとも、しばらくの間はわからない。そこへ一人....
青年と死」より 著者:芥川竜之介
楽その物がやはり欺罔にすぎないのを知らなかった。お前が己を忘れた時、お前の霊魂は飢えていた。飢えた霊魂は常に己を求める。お前は己を避けようとしてかえって己を招い....
或る女」より 著者:有島武郎
の心の葛藤《かっとう》を見やっていた。 単調な船旅にあき果てて、したたか刺激に飢えた男の群れは、この二人《ふたり》の女性を中心にして知らず知らず渦巻《うずま》....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
にも聞いて知っていたから、このまだ草にふらついて、飛べもしない、ひよわなものを、飢えさしてはならない。――きっと親雀が来て餌を飼おう。それには、縁では可恐がるだ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
、そして私がそれに対して擲ったおくりものとである。愛する場合に於ては、例えば私が飢えた人を愛して、これに一飯を遣ったとすれば、その愛された人と一飯とは共に還って....
海異記」より 著者:泉鏡花
指を挙げて、その高い鼻の下を指した。 指すとともに、ハッという息を吐く。 渠飢えたり矣。 「三ちゃん、お起きよ。」 ああ居てくれれば可かった、と奴の名を心....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
気分がよくなるのだ。極端にのん気な酒飲みな夫をもった姉は、つねにしんみりした話に飢えている。予はずいぶんそのらちもなき話に閉口するときがあるけれど、生まれるとか....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
とも、芬と塩煎餅の香しさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う。近飢えに、冷い汗が垂々と身うちに流れる堪え難さ。 その時分の物価で、……忘れもし....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
けで。……あとはただ真白な……冷い……のです。冷い、と極めたのは妙ですけれども、飢えて空腹くっているんだから、夏でも火気はありますまい。死ぎわに熱でも出なければ....
ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
ので、その日取りの前日に、私はOと一緒にその材料の買い出しに出かけました。食物に飢えたOの眼には、走りものの野菜がことに眼をひきました。私達は、筍や、さやえんど....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
顕わすとともに、手を拱き、首を垂れて、とぼとぼと歩行くのが朧に見える。それ、糧に飢えて死のうとした。それがその夜の辻町である。 同時に、もう一つ。寂しい、美し....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
の眼を覗こうともしなかった。時と荒廃とに任せていた彼の住居は崩れかけて来たので、飢えたる山羊どもは彷徨い出て、近所の牧場へ行ってしまった。そうして、音楽師が来た....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
歩一歩、ぬきさしならぬ泥濘の深みにはまり込んで行く。その間彼のあわれなる妻子は、飢えたる腹をかかへて、言い知れぬ悲嘆の泪に暮れるばかり、守護の天使とても、境涯の....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
ら貴様は俗物だよ。 花田 なんとでもいえ。しかし俺がいなかったら、おまえたちは飢え死にをするよりしかたないところだったんだ。 沢本 まあいいから、貴様の計画....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
憺極る有様であったが、この時に当って春陽堂は鉄道小説、一名探偵小説を出して、一面飢えたる文士を救い、一面渇ける読者を医した。探偵小説は百頁から百五十頁一冊の単行....