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飢渇
「飢渇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飢渇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「男女同権」より 著者:太宰治
ずるずると私のところに居ついてしまいまして、この女はまた金を欲しがる事、あたかも
飢渇《きかつ》の狼《おおかみ》の如く、私の詩の勉強などはてんで認めず、また私の詩....
「駈込み訴え」より 著者:太宰治
す。私は、きらわれて居ります。私はあの人や、弟子たちのパンのお世話を申し、日日の
飢渇から救ってあげているのに、どうして私を、あんなに意地悪く軽蔑するのでしょう。....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
罪人といっている。たぶん人間はいつまでも禽獣を脱しないから罪人となるのであろう。
飢渇のほか何物もわれわれに対して真実なものはなく、われらみずからの煩悩のほか何物....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
飢えて来た。 そこである食い物店へ行って食を乞うと、そこにいる人が言った。 「
飢渇を忍んで行けば、子細なく還られるが、ここの土地の物をむやみに食うと、還られな....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
座間とマヌエラが真底から感謝した。それは、きて以来一滴も口にしない、おそろしい
飢渇から救われたからだ。カークが砂川の下の粘土層のうえが、地下流だというのをやっ....
「狂乱」より 著者:近松秋江
た。七月の初めからほとんど三カ月に近い、高い山の上の枯淡な僧房生活の、心と体との
飢渇から、すっかり蘇生したような気持になった。外では夜に入るとともに豪雨にひどい....
「時事雑感」より 著者:寺田寅彦
かも病弱の体躯を寒い上空の風雨にさらし、おまけに渦巻く煤煙の余波にむせびながら、
飢渇や甘言の誘惑と戦っておしまいまで決意を翻さなかったその強さに対する嘆賞に似た....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
人意識が初めより備えたる欠陥である。愛はこの欠陥より生ずる個人意識の要求であり、
飢渇である。愛は主観が客観と合一して生命原始の状態に帰らんとする要求である。欠陥....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
のまにまに漂ってゆくより外に仕方がない身の上であった。そこへ一時的の雷雨にしろ、
飢渇と疲労とに弱っているところを叩かれる身はつらいことであった。 そうこうして....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
んどころない必要に迫られて、心の奥底から無理に引き出すような言葉は、喜怒哀楽とか
飢渇とかの本能だけしか現わすことの出来ない動物の声のようであった。無論、こうした....
「バラック居住者への言葉」より 著者:豊島与志雄
バラックに住む人々よ、諸君は、バラックの生活によって、云い換えれば、僅かに雨露を凌ぐに足るだけの住居と、
飢渇を満すに足るだけの食物と、荒凉たる周囲の灰燼と、殆んど着のみ着のままの自分自....
「迷信解」より 著者:井上円了
るも依然として存命せり。ときに飲食を欲するも、これを購入するの余銭なく、ほとんど
飢渇に迫らんとせり。ここにおいて、はじめて自ら卜筮家に欺かれたるを知り、にわかに....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
も身をもって知る態度を保ちたい。私らの案じなければならぬのは、心に大きな熱あり、
飢渇ある思想感情の訪れなくなることではありますまいか。私はいい加減なところで収ま....
「鴉」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
に止まっていた材木である。鴉は羽ばたきもせず、頭も上げず、凝然たる姿勢のままで、
飢渇で力の抜けた体を水に落した。そして水の上でくるくると輪をかいて流れて行った。....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
り好く見えようがない。人を悩殺する媚がある。凡て盛りの短い生物には、生活に対する
飢渇があるものだが、それをドリスは強く感じている。それが優しい、褐色の、余り大き....