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飯場
「飯場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飯場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
らを見ていた。一種|獰悪《どうあく》な眼つきで見ていた。――とうとう午後の一時に
飯場《はんば》へ着いた。 なぜ
飯場と云うんだか分らない。焚《た》き出しをするか....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
ひどく凍ると空気は板みたいに強《こわ》ばって、うまく吸いこめるもんじゃない。
飯場へ行くまでにも髭は白くなるし、頬っぺたや口のまわりが針束で刺されるように痛ん....
「朝の風」より 著者:宮本百合子
か云われていた原っぱに梅雨があがると、トタン葺きの大きな作業場が拵えられ、土工の
飯場が出来た。一日じゅう掘りかえされたり、木材を満載したトラックがひどい音でエン....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
突出たままにされていた。 切通しをぬけたところの谷間に、迷彩をほどこした二棟の
飯場のような急ごしらえの建物が低く見えた。上の道の草堤に沿って、軍用トラックが八....
「坑夫の子」より 著者:葉山嘉樹
が嵌りさえすればいいのだったから。 川下の方の捲上げ道を登れば、そのまま彼等は
飯場まで帰る事が出来た。
飯場には吹き曝しであるにしても風呂が湧いていた。風呂は晩....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
うらを、古河銅山の書記になって、二年ばかり、子まで出来たが、気の毒にも、山小屋、
飯場のパパは、煩ってなくなった。 お妻は石炭|屑で黒くなり、枝炭のごとく、煤け....
「人を殺す犬」より 著者:小林多喜二
ら受ける夕日に、鶴尖やスコップをかついでいる姿が前の方に長く影をひいた。ちょうど
飯場へつく山を一つ廻りかけた時、後から馬の蹄の音が聞えた。捕かまった、皆そう思い....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
刺比亜煙管を通して外部の家族と会話していた。 ウィインでは大型輸送自動車の陸軍
飯場が街上に出張して、通行人と好奇な外国人の旅行者に羊の脂肪肉と麺麭屑と上官の命....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
うペンキ屋の飯を食っていた。小田原の緑新道といえば目貫きの商店街であるが、そこに
飯場の掘立小屋のような汚いウチがあって、それがガランドウの店だ。もっともお手のも....
「都会の中の孤島」より 著者:坂口安吾
なければ起り得ない性質のものではない。 一人の女をめぐって殺し合うのは、山奥の
飯場のようなアナタハンに外見の似た土地柄でなくとも、都会の中でもザラにありうるこ....
「監獄部屋」より 著者:羽志主水
スッパ抜いてやるから、何と遣繰《やりくり》したって、どう辻褄が合うものかヨ、隣の
飯場に居る玉の井の淫売殺しをやった木村ッてノッポが居るだろう、彼奴も誰が何と云お....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
ってよ!」 「んだかな。」 「馬鹿云うもんでねえよ!」 健はムカムカした。 「
飯場さ入る時な、皆ば裸にしてよ、入口でヒー、フー、ミー、ヨーッで数えるんだ。――....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
、単に地図上で判断しては、到底了解されるものではない。 砥沢には宿屋はないが、
飯場をしている吉田留吉という人の家で泊めてくれるとのことに、そこを尋ねて一泊頼む....
「樹氷」より 著者:三好十郎
きつけたんで、私出かけて行ったの。そしたら、事務所と言うのは名ばかりで、まあ汚い
飯場ね、そこの飯炊き――女中さんみたいなことをやらされていたらしい。ところが、私....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
られた見窄らしい鉱山の事務所が現れる、其下の方にも二つほど可なりの建物があった、
飯場であろう。附近には大桜草、白山小桜、深山毛莨、大葉の黄菫などが、空疎ではある....