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飲み込む
「飲み込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飲み込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ますわ」
葉子は塩をたしてみた。けれども貞世はうまいとはいわなかった。また一口
飲み込むともういやだといった。
「そういわずとも少し召し上がれ、ね、せっかくねえ....
「親子」より 著者:有島武郎
彼の父の質問をもっとありきたりのことのように取っていたのだ。監督は、質問の意味を
飲み込むことができると礑たと答えに窮したりした。それはなにも監督が不正なことをし....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
。」 遠慮なく、箸をとっていて、二人とも揃って箸を置いたが、お悦さんの方は一口
飲み込むと、酒は一滴も喫けない婦の、白く澄ました顔色で、 「ニャーゴ!」 「こい....
「フランス料理について」より 著者:北大路魯山人
はり、それだけのわけがある。では、その種明しをするとしよう。総じて何事も根本さえ
飲み込むことができれば、枝葉の末端に道を求めまわっている無駄が省けるわけである。....
「料理の妙味」より 著者:北大路魯山人
が目的であるのだから、それに適合する補助味でなくてはならないのである。この呼吸を
飲み込むには、相当な経験というものがなくてはならないから、一朝一夕というわけには....
「斜陽」より 著者:太宰治
ょう?」 「ええ、でも、……」 「飲ませてやって下さい」 お咲さんは、つばきを
飲み込むようにしてうなずいて帰って行った。 私はお母さまのところに行って、 「....
「狂乱」より 著者:近松秋江
、小言いうてました」 私は、それを聴いて身にしみて悲惨を感じながら、じっと涙を
飲み込むようにして、 「飛んだことになってしまったものですなあ」と、あとの言葉も....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
急勾配を登る時に両方の耳が変な気持ちになる。気圧が急に下がるからだという。つばを
飲み込むと直る。ピークで降りるとドンが鳴った。涼しい風が吹いて汗が収まった。頂上....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
やさしくない人だて。しかし鬼でもない、蛇でもない、やっぱり人間じゃ。その呼吸さえ
飲み込むと、鬼の※だ、とそう思っていなけりゃならん。なあに御隠居が追っつけめでた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
二人とも食べ物が喉《のど》に通らなかった。肉の切れや味のない水を二口三口いやいや
飲み込むのも、やっとのことだった。気分がなおる余裕を母に与えるため話もしなかった....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
慮なさ、元気|溌溂《はつらつ》たる奇抜さ、非常な食欲、喉《のど》も動かさずに酒を
飲み込む早さなどは、アルセーヌ・ガマーシュに不快を与えるはずはなかった。ガマーシ....
「生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
ば喜悦もなかった。時々唇を動かした。その度に食塩水をやった。口元を動かしてそれを
飲み込むのが、見ている私にはたまらなく嬉しかった。 凡てが澱んだままの重苦しい....
「幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
味がして口の中で融けて無くなった。手に残ってるのを、またがりがりとやった。唾液を
飲み込むと、胸がむかついてきた。じっと押え止めてるまに鎮まった。しいんとなった。....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
が一二滴|眼尻《めじり》から頬へ流れ出した。山葵《わさび》が利《き》いたものか、
飲み込むのに骨が折れたものかこれはいまだに判然しない。「感心だなあ。よくそんなに....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
。西には、牛込《うしごめ》赤城《あかぎ》明神が見える。そこの森が夕陽《ゆうひ》を
飲み込む。それだけの毎日だ。
商売は、多く手紙のやりとりでする。若松屋惣七は、....