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「飴色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飴色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
てこもった酒と煙草《たばこ》の余燻《よくん》の中に、すき間もる光線が、透明に輝く飴色《あめいろ》の板となって縦に薄暗さの中を区切っていた。いつもならばまっ赤《か....
雛妓」より 著者:岡本かの子
いる小石の大河原にも若草の叢の色が和みかけている。 動きの多い空の雲の隙間から飴色の春陽が、はだらはだらに射し下ろす。その光の中に横えられたコンクリートの長橋....
安重根」より 著者:谷譲次
り過ぎて速力は漸次に緩まり、音が次第に低くなって、停車する。正面、改札口向うに、飴色に塗った貴賓車が雪と湯気に濡れて静止している。号令の声が聞こえて、露支両国の....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
ったのである。 銀杏の葉ばかりの鰈が、黒い尾でぴちぴちと跳ねる。車蝦の小蝦は、飴色に重って萌葱の脚をぴんと跳ねる。魴※の鰭は虹を刻み、飯鮹の紫は五つばかり、断....
雪の夜」より 著者:小林多喜二
は酒をとりに室を出ていった。龍介は室の真中に仰向けにひっくり返った。低い天井板が飴色にすすけてところどころ煤が垂れていた。 龍介は虚ろな気持で天井を見ながら「....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
中に彼女はそっと眼鏡を出して黒板の字を写した。私はそれが羨しくてたまらなかった。飴色の平凡なつるの眼鏡であったが、私はそれを掛ける時の恰好や、少し目を細めて遠方....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
甚だ無知であったことを発見したのであります。 水飴は餅米から製造され、いわゆる飴色という一種独特の色を持って居るものですが、二、三十年前から晒飴という透明で美....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
の顔であった。その次に彼の眼に付いたものは彼女の持っている鼓であった。漆黒の胴、飴色の皮、紫の締め緒を房々と結んだやや時代ばんだその鼓は生命ない木製の楽器とは見....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
衛門、辻五郎、秋山七左衛門、警衛として付いて行く。つづいて行くのが天一坊の輿物、飴色網代蹴出造、塗棒朱の爪折傘、そいつを恭々しく差しかけている。少し離れて行くも....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
た。私は毒矢を抜き取って仔細にそれを調べて見た。土人の使う弓矢である。鏃の先には飴色をした毒液がたっぷり塗りつけてある。記念のためにその弓の矢を私は大事に手に持....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
式で行われた。白百合の五つ紋の黒紋付できちょうめんに坐ったアンリー。高島田に笄が飴色に冴えているお京さん。神殿の廊下の外には女子供が立集って、きゃきゃと騒いだ。....
百喩経」より 著者:岡本かの子
望、三棟の土蔵へ通う屋根廊下には旧家らしい薄闇が漂っていた。桟窓からさし込む陽に飴色の油虫が二三びき光った。 「気味がお悪くは無くて。あたし陰気でこの家好きにな....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
りと行く。 甘鯛、いとより鯛、魴※の濡れて艶々したのに、青い魚が入交って、鱚も飴色が黄に目立つ。 大釜に湯気を濛々と、狭い巷に漲らせて、逞しい漢が向顱巻で踏....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
ところ今朝から客足が思わしく無く持荷の半分も捌ける見当がつかず、いたずらに納屋で飴色の腹に段々鼠色の斑が浮いて出る沢山の鮎の姿を思い出すとうんざりした。商売は其....
」より 著者:岡本かの子
切って河流の速い向島側に近く艇を運んで、桜餅を買って戻る蓑吉を待っていた。 水飴色のうららかな春の日の中に両岸の桜は、貝殻細工のように、公園の両側に掻き付いて....