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「飾り物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飾り物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
た秋の蛙の声は、ここまで聞えなかった。彼女はやはり俯向《うつむ》きがちで、生きた飾り物のようにおとなしく坐っていたが、それでも時どきにそっと眼をあげて、自分の客....
新生」より 著者:島崎藤村
書籍を有《も》っていたが、覚束《おぼつか》ない彼の語学の知識では多くはまだ書架の飾り物であるに過ぎなかった。この国の言葉に籠《こも》る陰影の多い感情までも読み得....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と呟いた、実に怪美人だ、此の美人の身に就いての事は皆な「怪」だ言葉も振舞も着物も飾り物も、爾して妙に此の屋敷の秘密を知って居る事も地図などを持って居る事も、一の....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ませんか。お祭りはどうしても夜のものですよ」 老人に案内されて、わたしは町内の飾り物などを観てあるいた。その晩、家へ帰って東海道名所図会を繰ってみると、三州池....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
子が急に乱れました。 「ちょっと! ちょっと! 何をのぼせているんですかよ。雛は飾り物、人間は生身の生き物じゃござんせんか。雛の詮議に行くんだったら、三日や四日....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
そうして、彼女は時代おくれの衣裳やお化粧をして、舞踏室になくてはならない不格好な飾り物のように、隅の方に席を占めていた。 舞踏室へはいって来た客は、あたかも一....
桜の森の満開の下」より 著者:坂口安吾
着物といくつもの紐と、そしてその紐は妙な形にむすばれ不必要に垂れ流されて、色々の飾り物をつけたすことによって一つの姿が完成されて行くのでした。男は目を見はりまし....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
のお座敷の次が仏間、それから由也の部屋だ。ところが、座敷の床の間の青磁の花瓶と、飾り物の大きな皿が、二ツながら割れている。皿の方は柿右衛門の作とか、青磁は支那の....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
っても、名士か元老とか大将とかいわれて、万人に尊敬される頃には、多くは時勢後れの飾り物となって、実際の仕事は無名の少壮者が担任しているのが一般である。一駄菓子や....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
衆人俺を笑うという! 伏見の爺が悪いからだ! 爺が政治を執っているからだ。で俺は飾り物だ! 虚器を擁しているばかりだ! 不平もあろう、淫蕩にもなろう、残忍にもな....
火の扉」より 著者:岸田国士
と手もとは苦しくなつていつた。これだけはと思う衣類もついに手ばなした。身につける飾り物などはなにひとつ残つていない。こうなるまでに、なにか手内職でもと思わぬでは....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
数が積って狭い室一杯に出来|揃った所は賑やかで悪くもないものです。そのいろいろの飾り物の中で、例のおかめの面、大根じめ、積み俵は三河島が本場(百姓が内職にしてい....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
うか持って帰って貰いたいという始末。けれども折角遠い所を持って来たものだからまあ飾り物にでもこっちに置いて貰ったがよかろうというので、今なおチベットの法王の宮殿....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
禍福は国の禍福、この現実の理を明らかに知れるところの精神の発露であります。仏教を飾り物にして置かない証拠であります。 次に平安朝に興った二大新仏教は、伝教大師....
放免考」より 著者:喜田貞吉
いた。それがさらに鎌倉時代も末葉の、兼好法師の頃に至っては、その衣服にいろいろの飾り物をつけて、為に左右の袖が重くて自分一人の自由にならず、「人に持たせて自らは....