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餌食
「餌食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
餌食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
て、見てなんぞいるのさ。」
「なに、今ここを通りかかったら、野ら犬が二三匹、いい
餌食《えじき》を見つけた気で、食いそうにしていたから、石をぶつけて、追い払ってや....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を叮嚀に潤《しめ》しますと、まるで私には目もくれず、そっと河原を踏み分けながら、
餌食《えじき》を覗う蜘蛛《くも》のように、音もなく小屋の外へ忍びよりました。いや....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
ものはありますまい。またほんとうにあなたがたは日本国中至るところに、あなたがたの
餌食《えじき》になった男の屍骸《しがい》をまき散らしています。わたしはまず何より....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
をすることになった。
桃太郎はその後《のち》犬のほかにも、やはり黍団子の半分を
餌食《えじき》に、猿《さる》や雉《きじ》を家来《けらい》にした。しかし彼等は残念....
「或る女」より 著者:有島武郎
い立った時、幾人も奴隷《どれい》を目の前に引き出さして、それを毒蛇《どくじゃ》の
餌食《えじき》にして、その幾人もの無辜《むこ》の人々がもだえながら絶命するのを、....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
日は斜《ななめ》、渓底《たにそこ》はもう暗い。
まずこれならば狼《おおかみ》の
餌食《えじき》になってもそれは一思《ひとおもい》に死なれるからと、路はちょうどだ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
リンドベルグもハウプトマンもアンドレーフもアナトール・フランスも皆跡もなく猛火の
餌食となって了った。近代的装釘技術の標本として屡々人に示したクレーマー出版の『ウ....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
の列強に伍すようになると想像したものは一人も無かった。それを反対にいつかは列強の
餌食となって日本全国が焦土となると想像したものは頗る多かった。内地雑居となった暁....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
が旅順要塞に退却の際、みな刈り取ってしもたんや。一歩踏み出せば、もう、直ぐ敵弾の
餌食は覚悟せにゃならん。聨隊長はこの進軍に反対であったんやけど、止むを得ん上官の....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
ははははは、俺達だ、ははははは。まず口だけは体の可い事を言うて、その実はお互に
餌食を待つのだ。また、この花は、紅玉の蕊から虹に咲いたものだが、散る時は、肉にな....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
山の話をしながら、螽一ツ飛んじゃ来ない。そう言や一体蚊も居らんが、大方その怪物が
餌食にするだろう。それにしちゃ吝な食物だ――何々、海の中でも親方となるとかえって....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
。 杜子春はしかし平然と、眉毛も動かさずに坐っていました。 虎と蛇とは、一つ
餌食を狙って、互に隙でも窺うのか、暫くは睨合いの体でしたが、やがてどちらが先とも....
「狂女」より 著者:秋田滋
手も動かさず、足も動かさず、命をただ自然に委せたのであろう。 そして群がる狼の
餌食になってしまったのだ。 やがて、鳥が狂女の敷いていた破れた蒲団の羽毛で巣を....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
天人からはじまって、地獄、餓鬼、畜生だ。――浅間しさも浅間しい、が、人間何よりも
餌食だね。私も
餌食さえふんだんなら、何も畜生が歯を剥くように、建具屋の甥や、妹の....
「西航日録」より 著者:井上円了
ところなり。 ああ、日本にしてもしその望みなしとすれば、東洋はついに碧眼紅毛の
餌食となりておわらんのみ。あに残念の至りならずや。余、いささかここに思うところあ....