» 餓え

「餓え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

餓えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
えるのを忘れなかった。しかし仁右衛門は小屋の所在が知れると跡は聞いていなかった。餓えと寒さがひしひしと答え出してがたがた身をふるわしながら、挨拶一つせずにさっさ....
富士」より 著者:岡本かの子
はいつも胸から上をえび蔓《づる》のように撓《たわ》めて歩いた。 こどもの中には餓え死んだり、獣の餌になるものもあったが、大体は木の実を拾って食い、熊、狼の害を....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
けたり。車夫の老人は年紀《とし》すでに五十を越えて、六十にも間はあらじと思わる。餓えてや弱々しき声のしかも寒さにおののきつつ、 「どうぞまっぴら御免なすって、向....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ようとする厳しい欲求の為めに、私は敢えて私から出発して歩み出して行こう。 私が餓えているように、或る人々は餓えている。それらの人々に私は私を与えよう。そしてそ....
自叙伝」より 著者:大杉栄
中間の、水原という町の向うの、一里ばかりの原に通りかかった時には、三人とも疲れと餓えとでへとへとになってしまって、幾度その原の中で倒れかかったか知れなかった。そ....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
を蔽うのじゃ。天を泣かせ、光を隠して、それで諸君は活きらるるか。稲は活きても人は餓える、水は湧いても人は渇える。……無法な事を仕出して、諸君が萩原夫婦を追うて、....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
その倨傲なるを憎みて、些の米銭を与えざらむか、乞食僧は敢て意となさず、決してまた餓えむともせず。 この黒壁には、夏候一|疋の蚊もなしと誇るまでに、蝦蟇の多き処....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
体に集らせたくないので、背後へ、町へ、両の袂を叩いて払った。 そして、この血に餓えて呻く虫の、次第に勢を加えたにつけても、天気模様の憂慮しさに、居ながら見渡さ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
理学士が夢中の目は、直ちにそれを黒百合の花と認めたのである。 これがためにこそ餓えたり、傷付いたれ、物怪ある山に迷うたれ。荒鷲には襲わるる、少年の身に添えて守....
獄中消息」より 著者:大杉栄
間にか夏に近づいたのだね。途で四谷見附の躑躅を見た。桃散り桜散り、久しく花の色に餓えたりし僕は、ただもう恍惚として酔えるがごときうちに、馬車は遠慮なくガタガタと....
化鳥」より 著者:泉鏡花
ものを分けてやるので、誰といって、きまって世話をする、飼主はないのだけれど、猿の餓えることはありはしなかった。 時々|悪戯をして、その紅雀の天窓の毛を※ったり....
」より 著者:井上紅梅
った。その中の一人は振向いて彼を見た。かたちははなはだハッキリしないが、永く物に餓えた人が食物を見つけたように、攫み掛って来そうな光がその人の眼から出た。老栓は....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
い事は夫人にもよく判る。しまった、と夫人は想う。ドクトルはやはり寒い側部屋で酒に餓えさせ乍ら獣の黄色い牙を磨かせて置く方が興味価値があったのだのに。夫人はこれほ....
清心庵」より 著者:泉鏡花
て帰るべしや。 一同が庵を去らむ時、摩耶もまた去らでやある、もの食わでもわれは餓えまじきを、かかるもの何かせむ。 打こぼし投げ払いし籠の底に残りたる、ただ一....
革命の研究」より 著者:大杉栄
自身も苦しんだものだけが、そうした場合にその中へ立ち入る権利がある。その子供等が餓えに泣くのを聞き、餓え疲れて死ぬのを見たものだけが、橋の下に寝ね、貧窮のあらゆ....