香しい[語句情報] » 香しい

「香しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

香しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
て、蝶々に化けて、瞳の黒い女の顔が、その同一処にちらちらする。 早瀬は、甘い、香しい、暖かな、とろりとした、春の野に横わる心地で、枕を逆に、掻巻の上へ寝巻の腹....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
う声、さざめく声、煮売屋の釜からは湯気が立ち、花見田楽の置店からは、名古屋味噌の香しい匂いがした。 「景気は可いな。実に陽気だ」宗春の心も浮き立って来た。ぴらり....
縮図」より 著者:徳田秋声
だったが、入れてみると、ちぐはぐの親父と、銀子の所思どおりに行かず、師匠の立場も香しいものではなかった。親父と銀子は、時々師匠の前でもやり合い、声がはずんで露骨....
足迹」より 著者:徳田秋声
を、いつも失敗して、今通っている学校は、学課の程度が低く、卒業生の成績や気受けも香しい方ではなかった。磯野はそこへ学籍を置きながら、月々の学費を取り寄せていた。....
二少女」より 著者:国木田独歩
りかけると、戸が少し開て居て、内で麺包を製造っている処が能く見える。其|焼たての香しい香が戸外までぷんぷんする。其焼く手際が見ていて面白いほどの上手である。二人....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
きた。待ちに待った報告であった。だがその報告の内容は、キンギン国にとって、あまり香しいものではなかった。 “――敵兵は、毒瓦斯に包まれつつ、平然として、陣地構築....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
は、形容でも何でもない。川音がタタと鼓草を打って花に日の光が動いたのである。濃く香しい、その幾重の花葩の裡に、幼児の姿は、二つながら吸われて消えた。 ……もの....
掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
は如何にやさしく静かであったか。家も揺ぐかと思われる中に、山田は、彼女のやさしい香しい息に脹らむ胸のあたりを喰い入るように見つめた。 秀子はふと、山田の方を顧....
餅のタタリ」より 著者:坂口安吾
、ツリ竿とビクをたずさえてエビス様のマネをしているわけではありません。実はあまり香しい話ではありませんが、若干おもしろいところもありますので、新年そうそう皆さん....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
から、ひょっこりひょっこりと出る芋づるの奴より、この……山の松露が、それこそ真に香しい露の凝ったので、いわば松の樹の精根でがしてな。」 「松露を掘ってるようじゃ....