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香煎
「香煎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
香煎の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
か》がした。婆さんは煮立った鉄瓶《てつびん》の湯を湯呑《ゆのみ》に注《つ》いで、
香煎《こうせん》を敬太郎の前に出した。そうして昔は薬箱でも載せた棚らしい所に片づ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
っている娘と、何か紙一重|距てたような、妙な心の触れ合いのまま、食後の馥郁とした
香煎の湯を飲み終えると、そこへ老主人が再び出て来て挨拶した。茶の湯の作法は私たち....
「家」より 著者:島崎藤村
て行った。 炉辺に近い食卓の前には、お房とお菊とが並んで坐った。伯母は二人に麦
香煎を宛行った。お房は附木で甘そうに嘗めたが妹の方はどうかすると茶椀を傾げた。 ....
「三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
ふーん」 勇吉が姉の膝の前へ並べた新聞包は故郷の味噌づけ、蓬餠《よもぎもち》、
香煎、かき餠などであった。 「王子とここさわけるんだって」 「あっちはほんのしる....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
に、 「はい。用意いたしております。」 と言いざま、天目茶碗に白湯をくみ、瓢から
香煎をふり出して、この珍客にたてまつった。その法体の主人こそ、別でもない山科の丿....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
とに決めてしまって、私の変った症状に興味を持って介抱した。「お欠餅を焼いて、熱い
香煎のお湯へ入れてあげるから、それを食べてご覧よ。きっと、そこへしこってる気持が....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
なると桜湯の店が赤い毛布《ケット》をかけた牀床《しょうぎ》をだした。麦湯、甘酒、
香煎《こうせん》、なんでもある。このごろの芝居ではお盆でだすが、一人だと茶台《ち....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
脚を立てて参らせた。 「これは、よく気が付いた。百座の茶、湯で満腹だ。かるがると
香煎を出したのは、言語道断云うばかりもない。……名は何んというな、其方の名は?」....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
日、コン吉とタヌが旧港《ヴィユ・ポオル》に近い旗亭《レストオラン》の露台で名代の
香煎魚羮《ブイヤベイス》を喰べ、さて次なる牛肉網焼《シャトオブリアン》を待ってい....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
んだのですが、それは茶ではないのです。冷水に、ちらちらと白いものが浮かしてある、
香煎は色がありましょう、あられか、菓子種か、と思ったのが、何と、志は甘かった、が....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
。是を訛って大和ではコバシ、土佐ではトガシとも謂っている。東京附近のコウセンは、
香煎との混同だと思っている人も多いが、或いはまたコガシの転じたものかも知れぬ。以....