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「駄賃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

駄賃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
御夫婦で棉採りかな。洒落《しゃ》れてますね。アハハハハハ」 「オウ常さん、今日は駄賃かな。大変早く御精が出ますね」 「ハア吾々なんざア駄賃取りでもして適《たま》....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
都合のいい目ぬきの位置にあった君の漁場はすたれ物同様になってしまい、やむなく高い駄賃を出して他人の漁場を使わなければならなくなったのと、北海道第一と言われた鰊の....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
なれ、山となれ的に楽観していて、田島に対しもし未練がありとすれば、ただ行きがけの駄賃として二十円なり、三十円なりの餞別を貰ってやろうぐらいだろう。と、僕には読め....
深夜の市長」より 著者:海野十三
らこっちからお願いします。連れてって下さい」 「うん、そうして貰いたい。その代り駄賃として、途中で面白い話を聞かせてやる。一昨夜油倉庫の火事があったことを知って....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
課長に馴染の深い探偵小説家を名乗る戸浪三四郎の憔悴した姿だった。 「帆村さん。お駄賃にちょっと返事をして下さい」と風間記者は鉛筆を舐め舐め格子の間から顔をあげた....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
平磯館の裏は飛行場であるから、盛んに銃撃があった。しかしたいてい敵機が帰りがけの駄賃に撃っていった。 平磯では取締りがやかましく、皆防空壕に入れといったり、町....
少年探偵長」より 著者:海野十三
ると、そのままゆうゆうとして、西のほうへとび去った。 「ひどいやつだ。いきがけの駄賃とばかりに、機関銃をぶっぱなしていきおった」 「いくらか臭いとにらんだんです....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
とも見えない足早であった。 「さあ、もう日本に永くいることは、無用だ。行きがけの駄賃というやつで、かねて計画しておいた帝都東京を焼きうちして、それからおさらばと....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
れたが、姉の方は頷いた。 「はい、お煎餅、少しですよ。……お二人でね……」 お駄賃に、懐紙に包んだのを白銅製のものかと思うと、銀の小粒で……宿の勘定前だから、....
故郷」より 著者:井上紅梅
コンパスはむっとして身を翻し、ぶつぶつ言いながら出て行ったが、なお、行きがけの駄賃に母の手袋を一双、素早く掻っ払ってズボンの腰に捻じ込んで立去った。 そのあ....
余齢初旅」より 著者:上村松園
、その石段をのぼるのに参詣者の腰を後から両手で押してくれるのであった。そして貰う駄賃がこの子供たちの収入になるのであった。その中にやはり貧しい子供には、昔の唐子....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
代に得たりと言うべし。 さて本文の九に記せる、 菊地|弥之助と云う老人は若き頃駄賃を業とせり。笛の名人にて、夜通しに馬を追いて行く時などは、よく笛を吹きながら....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
うとする風流人には、此奴あてつけに意地の悪いほど、とっとっと行く。そうでしょう、駄賃を稼ぐための職業婦人が聾の坊さんの杖つきのの字に附合っていられる筈はない。喘....
今日になるまで」より 著者:上村松園
ている店がありましたが、使い走りをした時などここで絵を買うて貰うのが一番好きなお駄賃でした。 また四条通りに出る夜店をひやかして、古絵本を見つけると、母の腕に....
越年」より 著者:岡本かの子
社員たちはいきり出した。 「この社をやめて他の会社の社員になりながら、行きがけの駄賃に女を撲って行くなんてわが社の威信を踏み付けにした遣り方だねえ。山岸君の前だ....