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駄馬
「駄馬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
駄馬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
こりては絶え、絶えては起こりしている。
見たまえ、鍛冶工《かじや》の前に二頭の
駄馬が立っているその黒い影の横のほうで二三人の男が何事をかひそひそと話しあってい....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
って手足《てあし》纏《まと》いだ。帰れ帰れ」と追い帰し、重い荷物は各自分担して、
駄馬のごとく、背に負い、八溝山万歳を三呼して廃殿を立ち出《い》でた。 (....
「競馬」より 著者:織田作之助
続けていた。その馬がどんな馬であろうと頓着《とんちゃく》せず、勝負にならぬような
駄馬《バテ》であればあるほど、自虐《じぎゃく》めいた快感があった。ところが、その....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
《ぬ》れていった。陽がその上にぎらぎらと映った。 市街地の駐在巡査が黒土の庭へ
駄馬を乗り入れて、コンクリートの露台の近くに寄ってきた。牧夫たちは露台のところに....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
うまででなくても善良の老人は人に好い感じを持たせる、こういわれて悪い気はしない。
駄馬にも篠の鞭、という格で、少しは心に勇みを添えられる。勿論未熟者という意味のボ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
事業の見るべきものが追い追いと発達して来ている。伊那の中馬、木曾の牛、あんこ馬(
駄馬)、それから雲助の仕事なぞがそれだ。もっとも、木曾の方にあるものは牛以外に取....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
がある。 春とは言いながら石を載せた坂屋根に残った雪、街道のそばにつないである
駄馬、壁をもれる煙――寝覚の蕎麦屋あたりもまだ冬ごもりの状態から完全に抜けきらな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
馬もどの馬も皆逞ましい駿馬ばかりで、毛並みのもじゃもじゃした、イヤに脚ばかり太い
駄馬などは何処にも見かけないのでした。 『私の若月も爰に居るのかしら……。』 ....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
とこの屋との間を家鶏の一群れゆききし、もし五月雨降りつづくころなど、荷物|曳ける
駄馬、水車場の軒先に立てば黒き水は蹄のわきを白き藁浮かべて流れ、半ば眠れる馬の鬣....
「雪のシベリア」より 著者:黒島伝治
へ帰って行った。 シベリアは、見渡す限り雪に包まれていた。河は凍って、その上を
駄馬に引かれた橇が通っていた。氷に滑べらないように、靴の裏にラシャをはりつけた防....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
小売商人の如き例は至るところに見出される。 然るに今日では遺憾ながら、足の弱い
駄馬が重荷に喘ぎつつ足の強い空荷の駿馬と競争しつつある現象が数多く見られる。世の....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
るぞ、俺が切れば! ……千里の駒も乗手がヤクザで、手綱さばきが悪かろうものなら、
駄馬ほどにも役立たぬ。……名刀であろうとナマクラが持てば、刀までがナマクラになる....
「絵だけ」より 著者:上村松園
した。これは橋本はんの写生です。関雪さんですな。どこか田舎へ行ったときそこにいた
駄馬に関雪さんが乗らはったところを、てんご半分に写生しといたのです。あの方のずん....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
で行くこと七里ばかりにしてカンマという駅に着き小休みして居りますと、十二、三頭の
駄馬の中に私の荷物は全く二疋の馬に載せられてどしどしやって行く。その運んで行くの....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
きの枝に尾を動かしている鶲は、私の近寄るのも知らぬげに寒さに顫えている。行き逢う
駄馬が鬣を振わして雨の滴を顔のあたりへ飛ばせて来ることもある。蕭条たる気が犇々と....