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「駆け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

駆けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
見えた。最後に――それはほとんど寸刻のいとまもなかったくらいである。すばやく彼を駆けぬけた狩犬の一頭が、友を集めるように高くほえると、そこに狂っていた犬の群れは....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ございますまい。もっともこの異様な行列も、御屋形まで参りつかない内に、急を聞いて駆けつけた私どもと出会いましたから、その場で面々御褒美を頂いた上、こそこそ退散致....
河童」より 著者:芥川竜之介
てしまうのですから。僕はある時僕の家にトックの詩集を読んでいました。するとそこへ駆けこんできたのはあのラップという学生です。ラップは僕の家へ転げこむと、床《ゆか....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
けが頭に拡がっていた。 すると突然次の間《ま》から、慌《あわただ》しく看護婦が駆けこんで来た。 「どなたかいらしって下さいましよ。どなたか、――」 慎太郎は....
或る女」より 著者:有島武郎
るや》という町のかどの宿屋を曲がって、いつでも人馬の群がるあの共同井戸のあたりを駆けぬける時、停車場の入り口の大戸をしめようとする駅夫と争いながら、八|分《ぶ》....
或る女」より 著者:有島武郎
思わず呼んだ。定子がびっくりして後ろを振り向いた時には、葉子は戸をあけて入り口を駆け上がって定子のそばにすり寄っていた。父に似たのだろう痛々しいほど華車《きゃし....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
ちゃくちゃになって、顔も手もくすぶったようになっていた。ぼくたちを見るといきなり駆けよって来て、三人を胸《むね》のところに抱《だ》きしめて、顔をぼくたちの顔にす....
初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
一線上に集注し来らむとする時、予がはからずもこの小樽の人となって日本一の悪道路を駆け廻る身となったのは、予にとって何という理由なしにただ気持がいいのである。....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
み離れてめいめいの持ち場につく。お内儀さんたちは右に左に夫や兄や情人やを介抱して駆け歩く。今まで陶酔したようにたわいもなく波に揺られていた船の艫には漁夫たちが膝....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
い。 空軍に対する国土の防衛は、ますます困難となるであろう。成層圏を自由自在に駆ける驚異的航空機、それに搭載して敵国の中枢部を破壊する革命的兵器は、あらゆる防....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
いい、それ迄は難は無えんだが、それから三日許り経つと、イフヒムの野郎が颶風の様に駆け込で来やがった。 「イフヒムの野郎」と云った時、ヤコフ・イリイッチは再び胴の....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
もうほんの一と煽りですべては身の終り……。そう思うと私はわれを忘れて、丘の上から駆け降りようとしましたが、その瞬間、忽ちゴーッと耳もつぶれるような鳴動と共に、今....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
首だけを括り付け、それに跨ったような格好で鞭で尻を叩く真似をしながら、彼方此方と駆け廻る。それを少し離れた処で柄の付いた八角形の眼鏡の、凸レンズが七個に区画され....
良夜」より 著者:饗庭篁村
彼の胴巻を探るに、悲しやある事なし。気絶して其所に倒れんとするほどになり、二階に駆け上りて裸になりて改めれどなし。泣く悲しむという事は次になり、ただ茫然たるばか....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
丁度熱に浮かされた譫語のような、短い問や叫声がする。誰やらが衝立のような物の所へ駆け附けた。 「電流を。電流を。」押えたような検事の声である。 ぴちぴちいうよ....