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駈ける
「駈ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
駈けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
から出てくるのを感づいて、彼は思わず後を振り向いた。はたしておぬいさんが小刻みに
駈けるようにして母の後ろまで来ると、その蔭に倚《よ》りそって坐るが早いか頭を下げ....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
放して実雅は暗い大路を暴れ馬のように駈けて行った。大きい身体をゆすりながら大股に
駈けるのであるから、四条の河原まで行き着いた頃には、ほとんど口も利かれないくらい....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
空足《からあし》を踏んで、板の間《ま》へ出た。 その跫音《あしおと》より、鼠の
駈ける音が激しく、棕櫚《しゅろ》の骨がばさりと覗《のぞ》いて、其処《そこ》に、手....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
置きの逸物に違いないが――風呂敷包み一つ乗らない、空車を挽いて、車夫は被物なしに
駈けるのであった。 ものの半時ばかり経つと、同じ腕車は、通の方から勢よく茶畑を....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
私は、応援してやりたい気持一杯で、ペイブメントを蹴って駈けだしたのであるが、
駈けるというよりは、泳ぐというに近かった。 「ぼぼぼ僕は、いいい生きているでしょ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、ところがちゃんと三十五ノットで移動できるのです。日本海軍の一万|噸巡洋艦でも追
駈けることができますよ。――いや、まだ驚くことがある。これは極秘中の極秘であるが....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
かなかった。掛稲のきれ目を見ると、遠山の雪の頂が青空にほとばしって、白い兎が月に
駈けるようである。下も水のごとく、尾花の波が白く敷く。刈残した粟の穂の黄色なのと....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
、 しゅっ、しゅっ、しゅっ、 エイさ、エイさ!) と矢声を懸けて、潮を射て
駈けるがごとく、水の声が聞きなさるる。と見ると、竜宮の松火を灯したように、彼の身....
「女客」より 著者:泉鏡花
ありませんか。 引込まれては大変だと、早足に歩行き出すと、何だかうしろから追い
駈けるようだから、一心に遁げ出してさ、坂の上で振返ると、凄いような月で。 ああ....
「離魂病」より 著者:岡本綺堂
見届けて、それが人違いであることを確かめなければ何分にも気が済まないので、西岡は
駈けるように急いでゆくと、娘はきょうも日傘をさしている。それが邪魔になってその横....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
四肢は陽に輝いて白く光り腰の辺に纒った鳥の羽根は棕櫚の葉のように翻えり胸を張って
駈けるその姿は土人とは云え美しい。追われるものも追うものも忽ち林を駈け抜けて丘を....
「橋の上」より 著者:犬田卯
行くうちに、自然に調子が定まり、しかも、見よ! だんだんそれが速くなって、ほう、
駈ける!
駈ける! 駈け出してしまったのだ、圭太は! 彼が
駈けるにつれて、さぶ....
「火に追われて」より 著者:岡本綺堂
な混雑で、自動車が走る、自転車が走る。荷車を押してくる、荷物をかついでくる。馬が
駈ける、提灯が飛ぶ。色々のいでたちをした男や女が気ちがい眼でかけあるく。英国大使....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
や勝手で長々と臥そべってる緑雨の車夫で直ぐ解った。緑雨の車夫は恐らく主人を乗せて
駈ける時間よりも待ってて眠る時間の方が長かったろう。緑雨は口先きばかりでなくて真....
「汽車の中のくまと鶏」より 著者:小川未明
、自由になれば、すぐにもここから飛び降りてみせます。そして、この広い野原も縦横に
駈けるであろう。」といって、くまは、かごの外の自然に憧れるのでした。 「ああ、自....