駈け上り[語句情報] » 駈け上り

「駈け上り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

駈け上りの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
たら、私は生きてはいられないから一緒に死ぬつもりであの砂山をお前、Mさんより早く駈け上りました。でもあの人が通り合せたお蔭《かげ》で助かりはしたもののこわいこと....
人間失格」より 著者:太宰治
堀木は、大きい咳《せき》ばらいをしました。自分は、ひとり逃げるようにまた屋上に駈け上り、寝ころび、雨を含んだ夏の夜空を仰ぎ、そのとき自分を襲った感情は、怒りで....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
いて、美留藻はグタリとなった紅矢を、又もや「瞬」の上に抱え乗せて、再び都へ一散に駈け上りましたが、今度は王城の西の大銀杏の樹を目標《めあて》に、青眼先生の門の前....
斜陽」より 著者:太宰治
っと大きい声が出て泣き崩れ、思いのたけもっともっと泣いてみたくなって二階の洋間に駈け上り、ベッドにからだを投げて、毛布を頭からかぶり、痩せるほどひどく泣いて、そ....
浴槽の花嫁」より 著者:牧逸馬
二階の浴室から湯が滴《したた》り落ちて一同が立ち騒いでいるので、彼は急いで二階へ駈け上りながら、階段の中途から大声に叫んだ。 「アリス、お湯がこぼれてるじゃない....
道標」より 著者:宮本百合子
まもられていたスモーリヌィの正面玄関の柱列や、銃をかかえたまま無数の人々がそこを駈け上り駈け下りした正面階段には、伸子たちがのぼってゆく一九二八年の六月の或る朝....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
ているんだぞ。知らないのかと申しましたから、私はすぐにキューを江木に渡して二階に駈け上りました。けれどもその時は……」 「扉に錠が掛かっていたろう」 「そうです....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
としたが色に出さず、つつしんで一礼して部屋から出て、それから飛ぶようにして二階に駈け上り、一筆しめしまいらせ候、来たわよ、いよいよ決行の日が来たわよ、私は逃げる....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
》りおって、竹槍棒ちぎりにて取巻きしが、直ちに刀を抜き、振払い振払い馬場の土手へ駈け上り、御竹蔵《おたけぐら》の二間ばかりの沼堀へはいり、ようやく逃げ込みしが、....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
女の子の泣き声です。日本人はその声を聞くが早いか、一股に二三段ずつ、薄暗い梯子を駈け上りました。そうして婆さんの部屋の戸を力一ぱい叩き出しました。 戸は直ぐに....
南島譚」より 著者:中島敦
て了《しま》ったが、其の頃はまだ椰子としての男盛りで村一番の丈高い樹であった)に駈け上り、其の天辺から村中の人々に呼び掛けて、己の欺かれた次第を告げ、欺瞞者を呪....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
つづいて十名ちかい火消人足の一団が、 「危い! 危い!」 連呼して、もつれつつ駈け上り、扉の前で押しひしめく。一かたまりの人むれに押されて、扉がドッと中へ倒れ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
前に、こっちもこっちで手前の体へ」 喚くと陣十郎へ背中を向け、庭を突っ切り縁へ駈け上り、座敷へ飛び込むと床の間にある、鳥銃を抱えて走り出で、縁に突っ立ち狙いを....