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駈け出し
「駈け出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
駈け出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
藁帽子もぶら下げたまま、いきなり外へ飛び出すと、新蔵の後を追いかけて、半町ばかり
駈け出しました。
その半町ばかり離れた所が、ちょうど寂しい石河岸の前で、上の方....
「僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
って行《ゆ》きます。風も吹いていないのに不思議なことでした。僕は何しろ一生懸命に
駈け出して帽子に追いつきました。まあよかったと安心しながら、それを拾おうとすると....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
《ひっ》ぱってこっちに走って来ました。私はそれを見ると何もかも忘れてそっちの方に
駈け出しました。若い男というのは、土地の者ではありましょうが、漁夫とも見えないよ....
「守の家」より 著者:伊藤左千夫
でくれた。 お松は其時もあまり口はきかなかった。自分はお松の手を離れて、庭先へ
駈け出してから、一寸《ちょっと》振りかえって見たら、お松は軒口に立って自分を見送....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
おや、」と云って、一段|下流の板敷へ下りると、お源と云う女中が、今しがたここから
駈け出して、玄関の来客を取次いだ草履が一ツ。ぞんざいに黒い裏を見せて引くり返って....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
のかと思って、谺のように高く手を鳴らして女中に言うと、「あれ、汲み込みます。」と
駈け出して行くと、やがて、スッと水が出た。――座敷を取り替えたあとで、はばかりに....
「海異記」より 著者:泉鏡花
姉さん。 何だって、あれだよ、そんなに夜があけて海のばけものどもさ、するする
駈け出して失せるだに、手許が明くなって、皆の顔が土気色になって見えてよ、艪が白う....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
あってもいい。)の前では多少ともしゃちこばってしまう傾向を持っている。したがって
駈け出しの演出者こそ最も生き生きした演技を彼らから抽き出し得る機会に恵まれている....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
那さん。」 と、そのまま跳廻ったかと思うと。 「北国一だ。」 と投げるように
駈け出した。 酒は手酌が習慣だと言って、やっと御免を蒙ったが、はじめて落着いて....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
て、しなやかな姿を揉み、しばらく争っているようでありました。けれども、また、颯と
駈け出して、あわやという中に影も形も見失ったのでありまする。 処へ、かの魚津の....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
たる緑色の巾着、手に持ちたるままハタと擲ちたり。銀貨入を誰が惜む。投ぐると斉しく
駈け出しぬ。疾く帰りて胸なる不平を伯母上に語らばやと、見も返らざりし背後より、跫....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
だア、奴、大事にして持ッとんねえよ。」 獅子が並んでお辞儀をすると、すたすたと
駈け出した。後白浪に海の方、紅の母衣翩翻として、青麦の根に霞み行く。 さて半時....
「橋の上」より 著者:犬田卯
調子が定まり、しかも、見よ! だんだんそれが速くなって、ほう、駈ける! 駈ける!
駈け出してしまったのだ、圭太は! 彼が駈けるにつれて、さぶちゃんはじめ、腕白ど....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
た僕の手を、ちょいと握って、そのまますたすたと、……さよう、六足ばかり線路の方へ
駈け出しておいでなさる、と思うと、よろよろとなすったようだから、危い! と声をか....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
同時に、初世は猫にねらわれた鼠みたいに、真ツ直に佐太郎のわきをすりぬけて、表てに
駈け出して行つた。 どこに行つたんだろうと、佐太郎は呆気にとられてポカンと突ツ....