駈け込み[語句情報] »
駈け込み
「駈け込み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
駈け込みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
諏訪まで、切符を買った。家を出て、まっすぐに上諏訪へ行き、わきめも振らずあの宿へ
駈け込み、そうして、いきせき切って、あのひと、いますか、あのひと、いますか、と騒....
「花火」より 著者:太宰治
きとめる節子をつきとばし、思慮を失った者の如く、あああと叫びながら父のアトリエに
駈け込み、ぺたりと板の間《ま》に坐った。父の画伯は、画筆を捨てて立ち上った。 「....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
どこへ行くのかと思うと、やがて美留藻は紅矢の家を尋ね当てまして、大胆にも表門から
駈け込みましたが、馬から降りると直ぐに玄関に駈け寄って、その石段の上に伏し倒れて....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
ませんでした。その二つの足を見ると、私は今迄の恐怖を丸切り忘れて一気に六畳の間に
駈け込みました。そこで私が如何なる光景を目撃しましたろうか。その当時から、足掛五....
「春の枯葉」より 著者:太宰治
張した声で)あなたは、いったい、……。 この時、舞台|下手より庭先へ、学童二名|
駈け込み、「先生! 奥田先生!」と叫ぶ。 奥田教師、縁側に出る。学童二名、息せき....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
かね、勝手口から走り出て、自身の兄の半井清庵という神田明神の横町に住む医師の宅に
駈け込み、涙ながらに窮状を訴え、助力を乞うた。清庵も、たびたびの迷惑、つくづく呆....
「トカトントン」より 著者:太宰治
を殴り、あばれて、うるさがられて、たまたま勲章をもらい、沖天の意気を以てわが家に
駈け込み、かあちゃんこれだ、と得意満面、その勲章の小箱をそっとあけて女房に見せる....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
の吉次が盗み取った雄蝶を、吉次をたぶらかして滝壺から出させ、それを奪って昆虫館へ
駈け込み、昆虫館主人に渡したので、それを山尼の一団へ渡し、戦いを未然に防いだから....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
それがどうも……」 米友は、木戸番と、男衆を突き倒して、疾風の如く軽井沢の町へ
駈け込みました。 「やい、やい、軽井沢にゃあ、宿役も、問屋も無《ね》えのかい、人....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
だしたチョビ安、お美夜ちゃんを押しのけるように、溝板《どぶいた》を鳴らして路地へ
駈け込みました。
「作爺《さくじい》さんはいるだろうな、家に」
後を追って走り....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なく虎之介。太陽もあがらぬころから、勝邸の門があくのを待っていたという慌ただしい
駈け込み訴えである。 日毎々々の報告を連日怠りなく講じておいたから、ちょうど読....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
込んで来た、鶴吉の刀の凄じかったことは! あやうく受け流し、わたしは木立ちの中へ
駈け込みました。そのわたしを追いかけて来る、鶴吉の姿というものは、さながら豹でし....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
乱していた。 馬! 馬! 馬! 博労! 博労! 博労! 戸を蹴破り、露路に
駈け込み、騒ぎに驚いて戸を開けた隙から、駈け入る馬! 捕らえようとして、無二無三....
「活人形」より 著者:泉鏡花
緒を、繋ぎ止めたや繋ぎ止めたやと絶入る心を激まして、幸いここが病院なれば、一心に
駈け込みし。その後は存ぜずと、呼吸つきあえず物語りぬ。 泰助は目をしばたたき、....
「宇賀長者物語」より 著者:田中貢太郎
は、生暖かな夜の空気に融け込んで艶めかしく聞えました。修験者は狂人のようになって
駈け込みました。 女と壮い男がとり乱した姿をして、燈火の光の中に出ました。吠え....