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騰
「騰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
騰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
へた》な字で、「一束《ひとたば》四銭《よんせん》」と書いてある。あらゆる物価が暴
騰した今日《こんにち》、一束四銭と云う葱は滅多にない。この至廉《しれん》な札を眺....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
は、無理もない話である。――石をも焦がすようなエルサレムの日の光の中に、濛々と立
騰《たちのぼ》る砂塵《さじん》をあびせて、ヨセフは眼に涙を浮べながら、腕の子供を....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
び》くこと、はるかあなたにぬっくと立てる電燈局の煙筒より一縷《いちる》の煙の立ち
騰《のぼ》ること等、およそ這般《このはん》のささいなる事がらといえども一つとして....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
た前脚を踏み立てて、思わず平頸を高くそびやかしたように、山は急にそそり立って、沸
騰せんばかりに天を摩している。今にもすさまじい響きを立ててくずれ落ちそうに見えな....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
〕 一七一二年)であった。この後者の説では地心の水は濃厚で濁っていて、しかして沸
騰するほど熱いということになっている。 デカルトの考えは当代から非常な驚嘆をも....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
豚の鼻面のように低く仰向いて、むくむくと煙を噴くのが、黒くもならず、青々と一条立
騰って、空なる昼の月に淡く消える。これも夜中には幽霊じみて、旅人を怯かそう。――....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
二 七筋ばかり、工場の呼吸であろう、黒煙が、こう、風がないから、真直に立
騰って、城の櫓の棟を巻いて、その蔽被った暗い雲の中で、末が乱れて、むらむらと崩立....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
っていますからと、鉛筆を軽く紙片に走らせた。 この会計だが、この分では、物価|
騰昇寒さの砌、堅炭三俵が処と観念の臍を固めたのに、 「おうう、こんな事で。……光....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
るとまで、こじつけずともの事だ。その気でお膳に向った日にゃ、お汁の湯気が濛々と立
騰ると、これが毒のある霧になる、そこで咽死に死にかねませんな。」 「そう一概に言....
「取舵」より 著者:泉鏡花
に崛起せる、御神楽嶽飯豊山の腰を十重二十重に※れる灰汁のごとき靄は、揺曳して巓に
騰り、見る見る天上に蔓りて、怪物などの今や時を得んずるにはあらざるかと、いと凄じ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
イツの都会を巡遊して、チロールを過ぎり、南下してピエトラ・マラの近くで、土地より
騰る燃ゆるガスを集め、十一月の初めには再びローマに戻って来た。 ファラデーは一....
「競馬」より 著者:犬田卯
から確かなもんだ。つぶしにしたって三十円――いや五十円はある。なにしろいま地金の
騰貴している時だからね。この町の時計屋へ持って行ったって三十円は欠けまいと思うよ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
のだ。小作地でさえそれは免れられぬ。もし地主に一任しておくなら、つまりは小作料の
騰貴でなければならず、でなければ、それこそ杉や桑や、その他ここに適当と思われる樹....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
浅間山の噴火口に立って、奥能登の故郷の方に向って手を合わせて、いまわという時、立
騰る地獄の黒煙が、線香の脈となって、磊々たる熔岩が艾の形に変じた、といいます。 ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
が犇々と身に応えてくる。不図行手を眺めると、傍らの林間に白々と濃い煙が細雨の中を
騰って行く光景に出遭う。炭売りから帰る婦たちが大樹の下などに集って、焚火に暖をと....