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「高塀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

高塀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
水桶《てんすいおけ》の後《うしろ》に、網代《あじろ》の笠や杖を隠した上、たちまち高塀を乗り越えました。 世間の噂《うわさ》を聞いて御覧なさい。阿媽港甚内《あま....
深夜の市長」より 著者:海野十三
には鉄が錆びたような酸っぱい空気が澱んでいた。そしてどっちを見ても、無暗に頑丈な高塀がつづき、夜空に聳え立つ工場の窓には明々と灯がうつり、それを距てた内側で夜業....
地球盗難」より 著者:海野十三
とだろう。 彼は、少年を慰めたいと思ったので、博士邸の跡を訪れた。あの厳然たる高塀は、月光に照らされて、奇怪なる黒い影を長く引いていた。大隅は見覚えのある小門....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
高は僅かに二千三百石にすぎないが、さすがは歴代つづく由緒の深さを物語って、築地の高塀したる甍の色も年古りて床しく、真八文字に打ち開かれた欅造りの御陣屋門に、徳川....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
田の正守ひと泡吹かせてやろうわい。早乙女どの、主水之介どの、年はとってもこの位の高塀、乗りこせぬわけではおじゃらぬがな、装束が邪魔になって身の自由が利かぬのじゃ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
と匂って来る快い匂い、まず葉之助の心をさらった。 はてなと声を上げた。 黒い高塀に囲まれているので、往来からは見えなかったが、庭一面に草花が爛漫と咲き乱れて....
時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
「おうい」 とつぜん頭の上で呼ぶ者があった。 「あっ!」 四人が、声のした高塀《たかべい》の上へ目をあげると、なんというふしぎ、塀をのり越えて八木音松が下....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
らを見廻していた。 「左様さ。忍び返しにも疵をつけず、松の枝にもさわらずに、この高塀を乗り越すというのは生優しいことじゃあねえ」 どう考えても、これは町家の娘....
故郷」より 著者:井上紅梅
で、彼等は本当に何一つ知らなかった。閏土が海辺にいる時彼等はわたしと同じように、高塀に囲まれた屋敷の上の四角な空ばかり眺めていたのだから。 惜しいかな、正月は....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
のらしい。表側だけコンクリートの塀が焼け残っているが、三方には二間ぐらいの厚板の高塀をめぐらしている。木材だけでも相当の金がかかったであろう。しかし、そのほかに....
幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
は? 駄目だ。全く沈み切ってしまって空気までも死んでいる。よしんば家庭のまわりを高塀が、ぐるりと囲んでいるにもせよ、まさか空気を遮断することは出来まい。つまり駄....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
裏門の方へ歩いて行く。 裏門まで来て驚いたのは、さっきまで闇に埋ずもれていた高塀の内側が朦朧と光に照らされていることで、その仄かな光の色が鬼火といおうか幽霊....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
八方から打ち込んで来るのを、ハッハッパッと手を挙げて払い、掛け声もなく宙に飛ぶと高塀の上へ突っ立った。 「えへへへ、お姫様! いずれまたお目にかかりやしょう。…....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
らく息が止っていた。顔をあげると、老人の亡骸を遮るようにして一団の人々が刑務所の高塀のように厳めしく立ち並んでいた。 「…………」 「お前は何者だ」と喜助の面前....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
等の入り込まないように建ててあるところのものであります。ですから別段に門の両側に高塀があるとかなんとかいうようなことはございませぬ。ただ門だけ建てられてあるので....