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「高蒔絵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

高蒔絵の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
たある西洋人が日本を去る時、私は何か餞別《せんべつ》を贈ろうと思って、宅の蔵から高蒔絵《たかまきえ》の緋《ひ》の房《ふさ》の付いた美しい文箱《ふばこ》を取り出し....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
》なく埋めて、大いなる火の絵図面が出来た。 藍《あい》を含む黒塗に、金を惜まぬ高蒔絵《たかまきえ》は堂を描き、楼を描き、廻廊を描き、曲欄《きょくらん》を描き、....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
三棚の堆きは、われら町家の雛壇には些と打上り過ぎるであろう。箪笥、長持、挟箱、金高蒔絵、銀金具。小指ぐらいな抽斗を開けると、中が紅いのも美しい。一双の屏風の絵は....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
敷で、背負わせて戻って来たが、ひろげて見ると、中から出たのは、丹塗《にぬ》りに、高蒔絵《たかまきえ》で波模様を現した、立派やかな、唐櫃《からびつ》だった。 丁....
紅玉」より 著者:泉鏡花
際、乾ものでも構わぬよ。 二の烏 生命がけで乾ものを食って、一分が立つと思うか、高蒔絵のお肴を待て。 三の烏 や、待つといえば、例の通り、ほんのりと薫って来た。....
元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
からのぞみに母親もこの返事に迷惑して申しのべし、「手前よろしければかねて手道具は高蒔絵の美をつくし衣装なんかも表むきは御法度を守っても内証で鹿子なんかをいろいろ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
机の上へ置いた。そして、金網のかかった手焙《てあぶり》――桐の胴丸に、天の橋立の高蒔絵したのを、抱えこむように、身体を曲げて 「これだけの人数なら、恐ろしくはな....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
と、奥院の宝塔とがある。宝塔は木造で斗※以上を極彩色とし、軸部には全面に蝋色地、高蒔絵を施して、これに七宝入りの精巧な透彫金具を打ち、眼もさむるばかりに美しい。....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
に近い祖母と、十ウばかりの弟ばかり。 父は塗師職であった。 黄金無垢の金具、高蒔絵の、貴重な仏壇の修復をするのに、家に預ってあったのが火になった。その償いの....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
五人|囃子のないばかり、きらびやかなる調度を、黒棚よりして、膳部、轅の車まで、金高蒔絵、青貝を鏤めて隙間なく並べた雛壇に較べて可い。ただ緋毛氈のかわりに、敷妙の....
雪柳」より 著者:泉鏡花
綾、錦。腰元の装の、藤、つつじ、あやめと咲きかさなった中に、きらきらと玉虫の、金高蒔絵の膳椀が透いて、緞子の※が大揚羽の蝶のように対に並んだ。 「草鞋をおぬぎに....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
閣が檜舞台へ糶出さない筈はないことよ。 作は大仕掛な、床の間の置物で、……唐草高蒔絵の両柄の車、――曳けばきりきりと動くんです。――それに朧銀台の太鼓に、七賢....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
焚き、細々と立ちのぼる煙はあたりの空気を、清浄なものに感じさせていた。その傍には高蒔絵の御厨子、蝶貝入りの書棚、梨地定紋ちらしの文机等が極めて体裁よく置きつけて....
大岡越前」より 著者:吉川英治
て、吉弥の体へ、そっとかけてやった。――その時、ふと、吉弥の腰に、葵紋をちらした高蒔絵の印籠が、燦と、提がっているのを見て、 「あっ……?」と、口に出るほど驚い....