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鬢
「鬢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
いに平気で、見ているじゃないか。」
「そう言えば、そうさ。」
次郎は、ちょいと
鬢《びん》をかいて、四たび白い齒を見せながら、微笑した。そうして、やさしく老婆の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
あか》を落している、六十あまりの老人が一人あった。年のころは六十を越していよう。
鬢《びん》の毛が見苦しく黄ばんだ上に、眼も少し悪いらしい。が、痩《や》せてはいる....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
女の後《うしろ》を、ちらりと白い物が通った。彼女はそれでも気をとめずに、水々しい
鬢《びん》を掻《か》き上げていた。するとその白い物は、前とは反対の方向へ、もう一....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
たり》とも額に傷を受けた。しかも一人は眉間《みけん》のあたりを、三右衛門は左の横
鬢《よこびん》を紫色に腫《は》れ上《あが》らせたのである。治修はこの二人を召し、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
る火事の煙と、尊の胸にすがっている娘の顔とを見比べた。娘は月に照らされたせいか、
鬢《びん》の乱れた頬の色が、透《す》き徹るかと思うほど青ざめていた。
「火を弄《....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
眼の色まで妙に殺気立って来る。そうして、発作《ほっさ》が甚しくなると、必ず左右の
鬢《びん》の毛を、ふるえる両手で、かきむしり始める。――近習《きんじゅ》の者は、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
すり》の単衣でしたが、今夜は湯上りだけに血色も美しく、銀杏返《いちょうがえ》しの
鬢《びん》のあたりも、まだ濡れているのかと思うほど、艶々と櫛目《くしめ》を見せて....
「百合」より 著者:芥川竜之介
ろ。白い着物を着るのは夏だい!」
良平はそう云うか云わない内に、ぴしゃり左の横
鬢《よこびん》を打たれた。が、打たれたと思った時にはもうまた相手を打ち返していた....
「或る女」より 著者:有島武郎
、あでやかに青年を見返りながら、小指をなんともいえないよい形に折り曲げた左手で、
鬢《びん》の後《おく》れ毛《げ》をかきなでるついでに、地味《じみ》に装って来た黒....
「或る女」より 著者:有島武郎
る葉子の姿に目をそばだてた。けれども葉子はもう左手の小指を器用に折り曲げて、左の
鬢《びん》のほつれ毛を美しくかき上げるあの嬌態《しな》をして見せる気はなくなって....
「星座」より 著者:有島武郎
らやはり濡れていた。眼のあたりを触ってみると、右の眼頭から左の眼に、左の眼尻から
鬢《びん》の髪へとかけて、涙の跡はそこにも濡れたまま残っていた。おぬいは袖口を指....
「親子」より 著者:有島武郎
わった。そして眼鏡をはずす間もなく、両手を顔にあてて、下の方から、禿げ上がった両
鬢へとはげしくなで上げた。それが父が草臥れた時のしぐさであると同時に、何か心にか....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
。『斯うかけ離れて住んで居ては、看護に手が届かんで困るのじゃが……。』めっきり小
鬢に白いものが混るようになった父は、そんな事を申して何やら深い思案に暮れるのでし....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
(とうに霞に紛れたのでしょう)どこを探しても見当りません。その内に鉄冠子は、白い
鬢の毛を風に吹かせて、高らかに歌を唱い出しました。 朝に北海に遊び、暮には蒼梧。....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
、小娘は私に頓着する気色も見えず、窓から外へ首をのばして、闇を吹く風に銀杏返しの
鬢の毛を戦がせながら、じっと汽車の進む方向を見やっている。その姿を煤煙と電燈の光....