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鬧
「鬧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
り囲まれたうつろな死骸《しがい》のように、がらんと静まり返って、騒々しい桟橋の雑
鬧《ざっとう》の間にさびしく横たわっている。
水夫が、輪切りにした椰子《やし》....
「或る女」より 著者:有島武郎
が眠く田圃《たんぼ》のほうから聞こえて来た。休暇でないせいか、思いのほかに人の雑
鬧《ざっとう》もなく、時おり、同じ花かんざしを、女は髪に男は襟《えり》にさして先....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
んえい》を見ず、天高く、露気《ろき》ひややかに、月のみぞひとり澄めりける。 熱
鬧《ねっとう》を極《きわ》めたりし露店はことごとく形を斂《おさ》めて、ただここか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に済んでしまいました。三田の薩摩屋敷には大勢の浪人が潜伏していて、とかくに市中を
鬧《さわ》がすので、とうとう市中取締りの酒井侯の討手がむかって、薩摩屋敷砲撃と相....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
夜はまた若い者共をあつめて柔術や剣術を指南していた。 江戸末期の世はだんだんに
鬧がしくなって、異国の黒船とひと合戦あろうも知れないという、気味の悪いうわさの伝....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
の祈を念仏のように繰返し繰返しひたすらに眼の前を見つめながら歩いて行った。この雑
鬧な往来の中でも障碍になるものは一つもなかった。広い秋の野を行くように彼女は歩い....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
・1「文藝春秋」) 夏季雑題 市中に生まれて市中に暮らして来た私たちは、繁華熱
鬧のあいだにもおのずからなる涼味を見いだすことに多年馴らされている。したがって、....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
発した。 日没後、なお、一と時は、物が白く明るく見える、生暖い晩だ。 昼の雑
鬧と黄色い灰のようなほこりはよう/\おさまった。 無数にうろついていた乞食の群....
「大脳手術」より 著者:海野十三
する声を後に残して、外に飛出した。行先はもちろんH街であった。 H街はひどく雑
鬧していた。はげしい人波をかきわけ、或いは押戻されつして、私は何回となく求むる人....
「のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
居が、どこにあるか、知っている人は、ほんの僅かである。人はよく、博士が南京路の雑
鬧の中を、擦れ切った紫紺色の繍子の服に身体を包み、ひどい猫脊を一層丸くして歩いて....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
、せいせいとした気持になって糊のかたくついた浴衣を身体にひっかけ、宵の新宿街の雑
鬧の中にさまよい出たのであった。どういうものか、人間というやつはすぐこうしたちぐ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
戸物町に陶器作りの人形が出て、年に一度の賑いで、私の心も浮々としていたが、その雑
鬧の中で私はぱったり文子に出くわしました。母親といっしょに祭見物に来ていたのです....
「越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
抜いた。イヤイー、イヤイーと呼ぶ牛方の声援が起こると、もう四周の崖の上は、雑然|
鬧然として興奮した。ウワーというどよめきが白髪神社を埋める杉の大樹の森を揺すった....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
威ならぶ城主がなかったのである。したがって厩橋城下は殷賑を極め、武士の往来は雑|
鬧し、商家は盛んに、花街はどんちゃん騒ぎの絶え間がなかったという。 仙公は、出....
「山吹」より 著者:泉鏡花
じめて心付く)いや、(と軽く言う。間)……先生は弱りました。が、町も村も大変な雑
鬧ですから、その山の方へ行ってみます。――貴女は、(おなじく眠れるがごとき目のま....