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「鬱金木綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鬱金木綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
ら流れこんだ春風《はるかぜ》が、その一枚のレタア・ペエパアを飜《ひるがえ》して、鬱金木綿《うこんもめん》の蔽《おお》いをかけた鏡が二つ並んでいる梯子段《はしごだ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
花の色は、合歓の影。 「へへへへへ」 と、向うに控えたのは、呉服屋の手代なり。鬱金木綿の風呂敷に、浴衣地が堆い。 二人連 十 午後、....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
電信局にかけつくるにか鉛筆を耳にさしはさみし新聞記者の車を飛ばして過ぐる、やがて鬱金木綿に包みし長刀と革嚢を載せて停車場の方より来る者、面黒々と日にやけてまだ夏....
球根」より 著者:寺田寅彦
からいつか茶の実をよこした事などが思い出された。そう言えば前にも今度と同じような鬱金木綿の袋へ何かはいって来た事も思い出したが、あいにくそれがどちらの姉だったか....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の小宿でもするか、鋳掛屋の居るに不思議はない。が、珍らしいと思ったのは、薄汚れた鬱金木綿の袋に包んで、その荷に一|挺、紛うべくもない、三味線を結え添えた事である....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
も知らず、とろんこで「御先祖でえでえ。」どろりと寝て、お京や、蹠である。時しも、鬱金木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜くらった、大角豆のようなのを嬉し....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
男の茂作が、この騒ぎにまだグウグウと眠っている。 これを起して見ると、こいつが鬱金木綿《うこんもめん》の胴巻がないといって急に騒ぎ出しました。命から二番目のも....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
窓に立つと、大陸の気層は魔術的だ、けさ着いた停車場の建物をすぐ眼のまえに見せて、鬱金木綿の筒っぽのどてらとするが、すぐに忘れてまた眠り出す。そうして襟へしみる夕....
丹下左膳」より 著者:林不忘
し》の市《いち》へ、伐《き》り出した松を運ぶ荷車が威勢よく駈けて通る。歳暮の品を鬱金木綿《うこんもめん》の風呂敷《ふろしき》に包んで首から胸へさげた丁稚《でっち....
良夜」より 著者:饗庭篁村
六円余、また東京へ着して三四ヶ月の分とて三十円、母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる鬱金木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり。学校の教師朋友などが送別の意を表して....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
象の脚元に蹲《うずく》まっている一人の男。 井桁格子《いげたごうし》の浴衣に鬱金木綿《うこんもめん》の手拭で頬冠《ほおかむ》り。片袖で顔を蔽って象のそばから....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
乾干びた、色の悪い婦の、それでも油でかためた銀杏返をちょきんと結んだのが尖って、鬱金木綿の筒袖の袖口を綿銘仙の下から覗かせた、炭を引掴んだような手を、突出した胸....