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「鬼魅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鬼魅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
怪僧」より 著者:田中貢太郎
。 「お前さんは、私の顔に見覚えはないのか」 「ありません」 こう云って女はぶ鬼魅そうにして、そそくさと出て往った。飯田は呆然としてその後を見送っていた。 ....
蟇の血」より 著者:田中貢太郎
垂れて考え込んでいるところを見ると何か事情があるかも判らない、傍へ寄って往ったら鬼魅を悪がるかも判らないが一つ聞いてやろうと思った。で、腰をあげて歩きかけたが、....
蟹の怪」より 著者:田中貢太郎
とかかったが、それは人間の手のような、また見ようによっては蟹の鋏のようにも見える鬼魅の悪いものだった。お種ははっとした。 「お種さん、お種さん」 と、初めの声....
阿芳の怨霊」より 著者:田中貢太郎
、そりゃ何かの間違いだろう」 婢は不思議そうな顔をして膳をさげて往った。由平は鬼魅がわるかったが、強いて気を強くして箸を執った。そして、椀の蓋を取ろうとしたと....
海坊主」より 著者:田中貢太郎
、 「それでは、これを」 と云ったが、坊主はそれにも見向きもしなかった。女房は鬼魅わるくなって、金を持ったまま後すざりして庖厨の方へ引込んで往ったが、怕くて脊....
朝倉一五〇」より 著者:田中貢太郎
と云う山坂があって、そこには鬼火が出るとか狸がいるとかと云うので、少年の橋田君は鬼魅がわるかった。 橋田君はその時自転車に乗っていた。やがて荒倉の麓へ来たので....
位牌と鼠」より 著者:田中貢太郎
が病気になって夜になると、 「うん、うん」 と云って、魘されるので、女房の留が鬼魅をわるがって、 「おまえさん、どうしたの」 と云って聞いてみると、七郎は蒼....
岩魚の怪」より 著者:田中貢太郎
急に動きだしたかと思うと、白い大きな藍色の魚の背が見えて来た。人間の大人ほどある鬼魅悪い大きな岩魚が白い腹をかえしながら音もなく浮んだのであった。 雨は烈しく....
怪人の眼」より 著者:田中貢太郎
がしたぞ、何故落ちないだろう」 鶴は依然として暢気そうに頸を傾げていた。丹治は鬼魅悪くなって来た。朝山を登る時|路傍の赤い実のついた茨の中から、猿とも嬰児とも....
藍瓶」より 著者:田中貢太郎
がよけいなことなのだ、なぜ何時までもそんなことを云うのだ」 父親の左の眼が青く鬼魅悪く見えた。父親はじっと伜の顔に眼を移した。 「そうか、そうか、云ってわるい....
赤い土の壺」より 著者:田中貢太郎
もしているように思われる処を通って、下手の方へ往った。暑い陽を吸うていた磧の沙は鬼魅悪くほかほかしていた。その時|莚包と焼明を持って背の高い男が、鵜を持った角顔....
馬の顔」より 著者:田中貢太郎
婆はぎろりと眼を光らして、黄ろにしなびている頤を右の方へ一二度突きだした。道夫は鬼魅がわるいので、もう何も云わないで老婆の頤で指した方へ往った。と、すぐ見おぼえ....
女の怪異」より 著者:田中貢太郎
ははっと思って立ちどまった。背の高い痩ぎすな男の姿が朦朧としてあらわれた。菊江は鬼魅が悪くなったので、急いですたすたと歩いた。 一段|地所が高くなって処どころ....
追っかけて来る飛行機」より 著者:田中貢太郎
んなことはない、錯覚だ、と思いながら計器盤を見るとやはり映っている。とうとううす鬼魅が悪くなって、その夜の練習を中止したことがあったが、こうした錯覚や幻想は決し....
女の姿」より 著者:田中貢太郎
っていた。生徒はびっくりして眼を※ったところで、女の姿はもう無かった。 生徒は鬼魅が悪くなったので、寝床を飛びだして二階へあがり、洋燈の燈を明るくして顫えてい....