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「魂魄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

魂魄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
て答《いら》えなき内儀の項《うなじ》を、出刃にてぺたぺたと拍《たた》けり。内儀は魂魄《たましい》も身に添わず、 「は、は、はい、はい、は、はい」 「さあ、早くし....
富士」より 著者:岡本かの子
、今を春と咲き出していた。高く抽き出でた花は蒐《あつま》ってまぼろしの雲と棚曳き魂魄を匂いの火気に溶かしている。林や竹藪の中に屈《くぐ》まる射干《しゃが》、春蘭....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
た。 極めて少しの間ではあるが、自分と世間とが遠く遠く離れるかと思った、死んで魂魄《たましい》が身体から離れるは此の様な気持ではあるまいか、併し余の呻き声に、....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
願フ次第也 一、一族憤激シ、絶頂ニ在ルモ、倶ニ抱キ朗顔ヲ見交ハシテ、此ノ世ヲ去ル魂魄此土ニ止リテ七生報国ヲ誓フモノナリ 一、時期急迫ノ為メ、親族知己友人諸兄姉ニ....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
ったはずのラザレフが歩いていたと云うジナイーダの言を考えると、肉体を離れた執拗な魂魄――ある種の動物磁気にすこぶる鋭敏だと云う説であるが――それを操って、跫音を....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
かり金が出来たからとて公債を買って置こうなどという、そんな蝨《しらみ》ッたかりの魂魄《たましい》とは魂魄が違う。秀吉、家康は勿論の事、政宗にせよ、氏郷にせよ、少....
風流仏」より 著者:幸田露伴
な小歌は聞もせねど、夢の中には緊那羅神の声を耳にするまでの熱心、あわれ毘首竭摩の魂魄も乗り移らでやあるべき。かくて三年ばかり浮世を驀直に渡り行れければ、勤むるに....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
蛛に化けたのであるか。それとも、彼はオーストラリヤで戦車にのし烏賊られて絶命し、魂魄なおもこの地球に停って大蜘蛛と化したのであるか。 「あれ、金|博士。醤はそう....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
五つ紋で。――これは外套の頭巾ばかりを木菟に被って、藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提げている。渚に聞けば、竹の皮包だ――そうで....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
あることを思わせた。 善良なる老人は途中で殺されたのであろうか。そうして、彼の魂魄がその事実を僕に告げんとして帰ったのであろうか。さらにまた、彼の愛する――の....
俊寛」より 著者:倉田百三
の呪いが悪魔の心にかなうために。わしの肉体の力はつきた。わしに残っているのはただ魂魄の力だ。わしのこの力で復讐して見せる。清盛はわしからすべての力を奪った。しか....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
」 かの女は陽のある昼は全くの無に帰し、夕方より蘇る青年を、物語の中の不思議な魂魄のように想われ、美しくあやしく眺めた。 かの女の眼病は遅々として癒えながら....
註文帳」より 著者:泉鏡花
めた、心はどうじゃい。 それを考えれば酒も咽喉へは通らぬのを、いやそうでない。魂魄この土に留まって、浄閑寺にお参詣をする私への礼心、無縁の信女達の総代に麹町の....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
像に過ぎない。 「阿父さん……。」 切てもの心床しに、市郎は父の名を呼んだが、魂魄の空しい人は何とも答えなかった。 「阿父さん……。」 彼は再び呼んだ。呼ん....
五重塔」より 著者:幸田露伴
だかまりなくさっぱりと平日のごとく仕做されては、清吉かえって心羞かしく、どうやら魂魄の底の方がむず痒いように覚えられ、茶碗取る手もおずおずとして進みかぬるばかり....