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魔物
「魔物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
魔物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
人の苦しみもがく姿を見るとそんな事は手もなく忘れてしまっていた。ひょっとすると邪
魔物扱いにされてあの老人は殺されてしまうかもしれない。あんな齢《とし》までこの海....
「或る女」より 著者:有島武郎
はひと向きに葉子の心を奪ってしまった。
平凡な人妻となり、子を生み、葉子の姿を
魔物か何かのように冷笑《あざわら》おうとする、葉子の旧友たちに対して、かつて葉子....
「星座」より 著者:有島武郎
、酒を飲みはじめた時から絶えず耳許《みみもと》に聞こえていたけれども、手ごわい邪
魔物がいて――熊のような奴だった、そいつは――がっきりと渡瀬を抱きとめた。渡瀬の....
「ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
、背中がゾクゾク寒いうえに、なんだか知らぬが、心が重い。暗闇のなかから、恐ろしい
魔物がイキナリ飛びだしてきそうな気がして妙に不安でならない。運動不足から起きる狭....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
変に凄い。気の弱い方が、転寝からふっと覚際に、ひょっと一目見たら、吃驚しますぜ。
魔物もやっぱり、蛇や蜘蛛なんぞのように、鴨居から柱を伝って入って来ると見えますな....
「骸骨館」より 著者:海野十三
あびて、アルコール漬けの臓器のように灰色だ。 まん中のくぐり戸のところだけが、
魔物が口をあいているようにまっ黒だ。正太はあそこから中へ入らなければならないのだ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
お積りになる、夜が更けたんです。 ここでお茶と云う処だけれど、茶じゃ理に落ちて
魔物が憑け込む。酔醒にいいもの、と縁側から転がし出したのは西瓜です。聞くと、途中....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
身を見せじと、擬勢は示すが、川柳に曰く、鏝塗りの形に動く雲の峰で、蝋燭の影に蟠る
魔物の目から、身体を遮りたそうに、下塗の本体、しきりに手を振る。…… 「可いかね....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ッて、母親の懐で寝ながら聞くと、これは笑っているばかり。父親が店から声をかけて、
魔物が騒ぐんだ、恐いぞ、と云うから、乳へ顔を押着けて息を殺して寝たっけが。 三....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
那様に済まねえだ。済まねえだから、死なねえだ、死なねえうちは邪魔アするだ。この邪
魔物を殺さっしゃい、七十になる老夫だ。殺し惜くもねえでないか。さあ、やらっしゃい....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
それ、銀目と、金目と、赤い目の奴等よ。主達が功徳での、地蔵様が建ったが最後じゃ。
魔物め、居処がなくなるじゃで、さまざまに祟りおって、命まで取ろうとするわ。女子衆....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
矢の若様はどうしました。」 「義作じゃないか、一体ありゃあどうしたんだね。お前、
魔物が夕立に乗って降って来たから、驚いたろうじゃあないか。」と半は独言のようにぶ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
仏であった。―― この難を知って、留められたを、推して上ったはまだしも、ここに
魔物の倒れたのを見た時、これをその犠牲などと言う不心得。 と俯向いて、熟と目を....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
きな墓石の上に、血を吸う女鬼のむれがすわっているのをみつけました。このいやらしい
魔物どもは、水でもあびるしたくのように、ぼろぼろの着物をぬいでいました。やがて骨....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
謝。さりながら、事と物とはままならぬことのみ多き浮き世の悲しさ、今や余が一身は一
魔物のために掠め去られ、ふたたび先生を見ることを得ず、先生また、余を愛することあ....