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「魔界〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

魔界の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ものが居ったようでございます。ただ私は何となく、その沙門や女菩薩の画像が、まるで魔界の風に染んでいるような、忌《いま》わしい気が致しましたから、鍛冶が正気に還っ....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
しい化生《けしょう》の者じゃ。この天竺の仏法をほろぼして、大千《だいせん》世界を魔界の暗闇に堕《おと》そうと企《くわだ》つる悪魔の精じゃ。まずその手始めとして斑....
雛妓」より 著者:岡本かの子
心を失うまいと誓ったわたくしと逸作との間にも、その若さと貧しさとの故に嘗て陥った魔界の暗さの一ときがあった。それを身にも心にも歎き余って、たった一度、わたくしは....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
島の端なり、その……淡島の峯から、こうこの巌山を視めますと、本で見ました、仙境、魔界といった工合で……どんなか、拍子で、この崖に袖の長い女でも居ようものなら、竜....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の顔した、女の童が、袖に載せて捧げて来た。手毬を取って、美女は、掌の白きが中に、魔界はしかりや、紅梅の大いなる莟と掻撫でながら、袂のさきを白歯で含むと、ふりが、....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
直った。 「そこに居る人……お前さんは不思議に、よく何か知っておいでだね、地獄、魔界の事まで御存じだね。豪いのね。でも悪魔、変化ばかりではない、人間にも神通があ....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
凹むや、眼が光る。……歯が鳴り、舌が滑に赤くなって、滔々として弁舌鋭く、不思議に魔界の消息を洩す――これを聞いたものは、親たちも、祖父祖母も、その児、孫などには....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
赤づらの目が、とろんこで、 「お酌を頼む。是非一つ。」 このねだりものの溌猴、魔界の艶夫人に、芭蕉扇を、貸さずば、奪わむ、とする擬勢を顕わす。……博識にしてお....
星女郎」より 著者:泉鏡花
で抜けそうな眼が濶と、鬼の面が馬場を睨んで、ここにも一人神が彳む、三造は身自から魔界を辿る思がある。 峠のこの故道は、聞いたよりも草が伸びて、古沼の干た、蘆の....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
婦のクラリモンドが、二、三日前に八日八夜もつづいた酒宴の果てに死にました。それは魔界ともいうべき大饗宴で、バルタザールやクレオパトラの饗宴をそのままの乱行が再び....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
れたり。待てちゃアと二声ばかり呼ばりたるを聞けりとぞ。 修羅の巷を行くものの、魔界の姿見るがごとし。この種の事は自分実地に出あいて、見も聞きもしたる人他国にも....
山吹」より 著者:泉鏡花
師遍照金剛―― 夫人の声も、またきこゆ。 ――南無大師遍照金剛―― 画家 うむ、魔界かな、これは、はてな、夢か、いや現実だ。――(夫人の駒下駄を視る)ええ、おれ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
に余りある次第であろう。 渠等が額を集め、鼻を合せ、呼吸をはずませて、あたかも魔界から最後の戦を宣告されたように呶々している、忌むべき宵啼の本体が、十間とは間....
雪柳」より 著者:泉鏡花
偲ばれましょう。 ところで、何しろ「怪談録」です。怨念の蛇がぬらぬらと出たり、魔界の巷に旅人が※ったり。……川柳にさえあるのです……(細首を掴んで遣手蔵へ入れ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
者は折々見られたであろうと思う――針を植えた赫と赤いのが、烈々たる炭火に掛って、魔界の甘酒のごとく、脳味噌と酒とぶつぶつと煮えているのに。―― 「お悦さん――姉....