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「魚族〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

魚族の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
とりした空気や、広々と夷《なだら》かな田畠や矮林《わいりん》が、水から離れていた魚族の水に返されたような安易を感じさせたが、東京が近《ちかづ》くにつれて、汽車の....
初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
ううつ》の大森林、広漠《こうばく》としてロシアの田園を偲《しの》ばしむる大原野、魚族群って白く泡立つ無限の海、ああこの大陸的な未開の天地は、いかに雄心勃々《ゆう....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
んだもの、ハヤがいたって何も珍しかござんせんよ」 「いいや、そうではない。流れに魚族が戯れおるは近頃珍重すべきことじゃ。身共はここで釣を致すぞ」 「え?……」 ....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
っていた。 富豪の邸宅の跡には美しい壁画が立派に保存されていた。それには狩猟や魚族を主題としたものもあった。大きな浴場の跡もあった。たぶん温度を保つためであろ....
悟浄出世」より 著者:中島敦
明るい窓の下で、永遠の悔いなき幸福について瞑想《めいそう》しておった。ある高貴な魚族は、美しい縞《しま》のある鮮緑の藻《も》の蔭《かげ》で、竪琴《たてごと》をか....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
った。作者はどんな人かよく知らないが、多くの画家が生命の溌溂さをのみ見ているこの魚族を取り扱うのに、彼みずからの見方に従って、グロテスクの味をたっぷりと出したの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
って見ると、意外にも、こいつだ――どこから入って来たか、こいつに出られた日には、魚族よりは漁師の生活問題だ」 と言いながら、再応、米友の眼前に突きつけたものです....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ますか?』 『イヤイヤあれは例によりて人間どもの勝手な仮構事じゃ。乙姫様は決して魚族の親戚でもなければ又人魚の叔母様でもない……。が、もともと竜宮は理想の別世界....
故郷」より 著者:豊島与志雄
それは単に湖水だけではない。 石狩の鮭と釧路の鮭とは、品質がまるで異っている。魚族が異っているからである。 鮭の人工孵化を行い得られるのは、鮭が自分の生れ故....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
のない叫び声があがった。 というのは、一筋銀色の泡を引いて、水底から、不思議な魚族が浮かび上がってきたからである。 はじめ、水面のはるか底に、ちらりと緑色の....
荒磯の興味」より 著者:佐藤惣之助
陸上の春が来て、人間が春の磯遊びにゆく頃には海草もかなりのびて、新芽を喰いに来た魚族は更に深みへ移り、温い潮につれていろいろに移動する。 その結果、この頃での....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
物の棲めない地獄の川となっている。 これでは、利根本流の鮎をはじめ、いろいろの魚族も、前橋の養鯉の池も、全く堪ったものでない。 それほど猛毒の持ち主である吾....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
合とは違うということをよく知らなければならぬ。これらの不殺生の原因即ち毎日多くの魚族の命を殺すところの網を焼きあるいはその業を廃するに至らしめた功徳は、正しく私....
河豚は毒魚か」より 著者:北大路魯山人
ある。今もって無知なる当局の取締方針など、このまま無責任に放置せず、あり余るこの魚族を有毒との理由から、むやみと放棄し来った過去の無定見を反省し、さらにさらに研....
味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
よっては優れた自然天恵の日本であることが分る。だから、さかなひとつに見ても優れた魚族であり、樹木一本較べてみても、秀れた良質と言えよう。 例えば、日本の杉の木....