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魚油
「魚油〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
魚油の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
戸《しちのへ》に腰折《こしお》れてやどりけるに、行燈《あんどう》の油は山中なるに
魚油にやあらむ臭《くさ》かりける。ことさら雨ふりいでて、秋の夜の旅のあわれもいや....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
にいることは勿論知っていた。彼はソ連の商人として知られており、これまで魚の缶詰や
魚油の取引をしていることはドレゴも知っていたが、ゼムリヤ号事件に関係しているとは....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
てあったが、その光は白味を帯び、晄々という形容詞があてはまるところから考えると、
魚油灯でなく獣油灯でなく、化学的のものと思われたが、確かなところはわからなかった....
「ビジテリアン大祭」より 著者:宮沢賢治
るとすくわれて、締木《しめぎ》にかけて圧搾《あっさく》される。釜に残った油の分は
魚油です。今は一|缶《かん》十セントです。鰯《いわし》なら一缶がまあざっと七百|....
「怪塔王」より 著者:海野十三
て岩の割れ目から、手提灯が一つ現れました。それは、西洋の漁夫などがよく持っている
魚油を燃やしてあかりを出すという古風な
魚油灯でありました。 その
魚油灯は、一本....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
青銅製の思い切って背の高いそして棒の様な台の上に杯の様な油皿のついた燈火を置いて
魚油を用うるので細い燈心から立つ黄色い焔の消えそうなほどチラチラする事が多くうす....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
眺めまわしたけれど、眼にはいる雪の肌もいっこうにこころ楽しくない。
奥と入口に
魚油の灯がとろとろと燃えて、老若男女の五百|羅漢《らかん》。
仕舞《しま》い湯....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ショワ島の岩城は、いまや昏々と眠りたけていた。 見張りの交代もほど間近とみえ、
魚油をともす篝の火が、つながり合いひろがり合う霧の中を、のろのろと、異様な波紋を....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
部分は、壁が拱門形に切り抜かれている。そして、その所々には、クルージイと呼ばれて
魚油を点す壁灯や、長い鎖のついた分銅を垂している、古風な時計などが掛けられている....
「くまと車掌」より 著者:木内高音
グナル・ランプを顔の前につきだしてみたりした。(その当時は、客車にさえ、うす暗い
魚油灯をつけたもので、車掌室はただ車掌の持つシグナル・ランプで照らされるばかりで....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と山千禽のさえずりが聞こえるから、もう夜は明けているのだろうが、世阿弥の側には、
魚油を点した火皿の燈心が、今のかれの命のように、心細く燃え残っている。 「ああ…....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
流れに乗せると、松兵衛、帆方アとどなって手を振った。キキキキキと帆車が鳴る、赤い
魚油燈がぶらんとかかった。人魂が綱を手繰って登ったように。 するとその時|胴の....
「三国志」より 著者:吉川英治
この辺は、大船の影もかくれるほどな芦萱のしげりであったが、呉軍はこれへ大量な
魚油をかけておいて、こよい一度に火を放ったものであった。 魏の大艦小艇などの何....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
聞に」 と、忠顕だけが一人船艙の底へ、手さぐりで五、六段降りて行った。 暗い
魚油の灯が一つ架かっている。 干鯣か魚屑のにおいだろうか。鼻をつく異臭であった....
「春の雁」より 著者:吉川英治
下さいな」 老婆の声が聞え、彼女は、あわてて中へかくれた。穢い漁師小屋だった。
魚油を燈すとみえ、臭い灯のにおいがして、家の中に、黄色い明りがついた。 「坊やは....