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鮮か
「鮮か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鮮かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
が半ば這《は》いかかって、時々その間を通りすぎる往来の人の白衣《はくい》の裾が、
鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。が、女は未だに来ない。
尾....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
らしていたか、如何に又武者小路実篤の作品は彼等の論戦を支配していたか、――信輔は
鮮かに九月の或夜、何匹も蝋燭へ集って来た、大きい灯取虫《ひとりむし》を覚えている....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ながら、二時前後の湘江を走って行った。からりと晴れ上った五月の天気は両岸の風景を
鮮かにしていた。僕等の右に連った長沙も白壁や瓦屋根の光っているだけにきのうほど憂....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
色に近い水鳥だった。僕は格別その水鳥に珍しい感じは持たなかった。が、余り翼などの
鮮かに見えるのは無気味だった。――
――僕はこう言う夢の中からがたがた言う音に....
「路上」より 著者:芥川竜之介
娘と並んで、大きな暖炉《だんろ》の前へ佇《たたず》んでいた。血色《けっしょく》の
鮮かな、眼にも眉《まゆ》にも活々《いきいき》した力の溢《あふ》れている、年よりは....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
するように。――
九
その日以来、彼の心の中には、あの快活な娘の姿が、時々
鮮かに浮ぶようになった。彼は前にも云ったごとく、彼自身にもこう云う事実を認める事....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
た幹は何も始めは現していない。が、次第にその上に世界に君臨した神々の顔が一つずつ
鮮かに浮んで来る。最後には受難の基督《キリスト》の顔。最後には?――いや、「最後....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
ろん日露戦役に関するいろいろの小事件を記憶している。が、この一対の高張り提灯ほど
鮮かに覚えているものはない。いや、僕は今日でも高張り提灯を見るたびに婚礼や何かを....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
統一に入って、黒雲の中を睨みつめて居たのですが、たちまち一体の竜神の雄姿がそこに
鮮かに見出されました。私は思わず叫びました。―― 『あれあれ薄い鼠色の男の竜神さ....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
石投げということは、俳諧の季題にある印地打ということなので、この風習は遠い昔に朝
鮮から伝来したものらしく、今でも朝鮮では行われているそうだが、それが五月の行事と....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
するとロッビイへ出る隅に緑いろの笠をかけた、脊の高いスタンドの電燈が一つ硝子戸に
鮮かに映っていた。それは何か僕の心に平和な感じを与えるものだった。僕はその前の椅....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
の灯し火」とうたえる久米、真白草花の涼しげなるにも、よき人の面影を忘れ得ぬ久米、
鮮かに化粧の匂える妓の愛想よく酒を勧むる暇さえ、「招かれざる客」の歎きをする久米....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
でがさがさいうのは、鳥がおどろいて巣から飛びたつ音だ。蛍さえもひどく暗いところで
鮮かにぴかりぴかり光り、ときどき並みはずれてよく光るのが路を横ぎって流れ、彼をお....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
、袋餌数筋を刺す。其の状、恰も緋色の房の如く、之を水に投ずれば、一層の艶を増して
鮮かに活動し、如何なる魚類にても、一度び之を見れば、必ず嚥下せずには已むまじと思....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
は多くは二尺位もある長々しい尾を持っているので、飛んで行く後ろ影を眺めわたすと、
鮮かに他の鳥と区別することが出来る。その長い尾を曳いて両翼を拡げつつ露の中を翔ん....