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「鳥影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鳥影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
未帰還の友に」より 著者:太宰治
四、五日後に行われた事になる。何だか、そこに、幽《かす》かでも障子《しょうじ》の鳥影のように、かすめて通り過ぎる気がかりのものが感じられて、僕はいよいよ憂鬱にな....
こころ」より 著者:夏目漱石
た。落ち付いていた。けれども時として変な曇りがその顔を横切る事があった。窓に黒い鳥影が射《さ》すように。射すかと思うと、すぐ消えるには消えたが。私が始めてその曇....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
二階の窓の障子に鳥のかげが映った。お浜は長火鉢に炭をつぎながら呟いた。 「おや、鳥影が……。誰か来るかしら」 「誰か来るといえば、芝居の方から誰も来なかったかし....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
の光は、瓦斯を合わせて、ただその三つの灯となる。 中のどれかが、折々|気紛れの鳥影の映すように、飜然と幕へ附着いては、一同の姿を、種々に描き出す。…… 時し....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
。(昭和三年一月、渋柿) 三毛のお墓に花が散る こんこんこごめの花が散る 小窓に鳥影鳥影 「小鳥の夢でも見ているか」 三毛のお墓に雪がふる こんこん小窓に雪が....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
―一種の怪鳥で、形は鷹のごとく、よく人語をなすということである。――のような黒い鳥影がともしびの下を飛びめぐる。その飛ぶこといよいよ疾ければ、小児の苦しみあえぐ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
と影が見えた。真向うに、矗立した壁面と、相接するその階段へ、上から、黒く落ちて、鳥影のように映った。が、羽音はしないで、すぐその影に薄りと色が染まって、婦の裾に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
りません――白骨の山の奥にいる時だって見たことのない鳥。 そう思って右の一点の鳥影から眼をはなすことではありませんでしたが、その鳥は次第次第に近づいて来て、お....
丹下左膳」より 著者:林不忘
じゅう》を見おろしていたことを知らなかった。 明るい陽をうけた障子に、チチと鳥影が動くのを、源十郎はしばらくボンヤリと眺めていた。 うすら寒い静寂《しずけ....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
るやかな水の流れ、静かな雲の歩みのようにつづいて行く。その背景の前に時たま現れる鳥影か何ぞのように、琴や琵琶の絃音が投げ込まれる。そして花片の散り落ちるように、....
小さな旅」より 著者:富田木歩
漲っている若葉蔭に陣取って新聞を読む。 杉の芽に蝶つきかねてめぐりけり 新聞に鳥影さす庭若葉かな 服薬して身を横たえている姉は句作に耽っている私の方を見乍....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
た。 冬の真昼の陽に輝いて、周囲一里ほどの湖は波穏かに澄んでいる。空を行く雲も鳥影も鏡のように映って見え、日光を吸って水の中は黄金のように輝いている。 老人....
剣侠」より 著者:国枝史郎
カチリと置いた。 「妾の心もご存知なく!」 西陽が障子に射していて、時々そこへ鳥影がさした。 生垣の向こう、手近の野良で、耕しながらの娘であろう、野良歌うた....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
外套の背にずり辷って、半ば寝つつも、金剛神の草鞋に乗った心持に恍惚した。 ふと鳥影が……影が翳した。そこに、つい目の前に、しなやかな婦が立った。何、……紡績ら....
赤い船」より 著者:小川未明
夢のようになって見えました。白い雲が浮かんでいるのが、島影のようにも、飛んでいる鳥影のようにも見えたのであります。 お姉さまは、いい声でうたいながら、露子の手....