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鳧
「鳧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鳧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
い冬の蠅をさえ棲《す》ませているではないか。いつになったらいったいこうしたことに
鳧《けり》がつくのか。 心がそんなことにひっかかると私はいつも不眠を殃《わざわ....
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
《いや》でっせ」 と言ったのでなんだか事件が滑稽になって来て、それはそのままに
鳧《けり》がついてしまったのだった。 この町へ帰って来てしばらくしてから吉田は....
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
秋ともなれば、湖畔の草を、さやさやと靡かせ、金の如き水楊のわくら葉を振り乱して、
鳧《かも》が幾十羽となく、群《むらが》って魚を喰べに来るというほどの、静かな谷に....
「野分」より 著者:夏目漱石
和楽《わらく》の扇に麾《さしまね》く風を厭《いと》うて、寒き雪空に赴《おもむ》く
鳧雁《ふがん》の類《るい》である。 円満なる愛は触るるところのすべてを円満にす....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
って動きゃしない」 「帰れったら帰らないか」 「いやだよう、支倉の奥さん、何とか
鳧をつけとくれ」 静子は蒼白い顔をして、大きく肩で息をしながら、浅間しい夫婦の....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
声の裡。平時は汪々として声なく音なく、一たび怒る時万雷の崩るゝ如き大河の畔。裏に
鳧を飼い門に舟を繋ぐ江湖の住居。色と動と音と千変万化の無尽蔵たる海洋の辺。野に※....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
会 木犀 風呂吹や尊き親に皿の味噌 其北 風呂吹を食へば蕎麦湯《そばゆ》をすすめ
鳧《けり》 陽山 風呂吹の賛宏大になりにけり 平五郎 ここで句会を催した逸興....
「叔父」より 著者:豊島与志雄
知識がなく、また興味も持っていなかった。二人の間に持出された話題はみな、二三言で
鳧がついてしまった。喜代子までが変に取澄して黙っていた。 すっかり調子が違った....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
たのが、それがどうだ! 「ささ、ここだて親分。」常吉は一人ではしゃいで、「これで
鳧《けり》がつきゃあ、三尺高え木の空がお繩知らずに眼え瞑《つむ》ったんだからお天....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
て来た、引越の蒸籠のようだ、唯今あけます、とほうほうの体で引退ったんで。これで、
鳧がつけば、今時ここらをうろつくこともないんですが、名は体を顕しますよ。 止せ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
故、文芸上の興味が冷め、生活上の苦労に苛まれていても一夜漬けの書流しで好い加減に
鳧をつけて肩を抜いてしまうという事は出来ないで、イヤイヤながらもやはり同じ苦辛を....
「向嶋」より 著者:永井荷風
ニシテ肌骨皆香シク、人ヲシテ蒼仙ニ化セシメントス。既ニシテタ陽林梢ニアリ、落霞飛
鳧《らっかひふ》、垂柳疎松ノ間ニ閃閃《せんせん》タリ。長流ハ滾滾《こんこん》トシ....
「西航日録」より 著者:井上円了
さらに通ぜず、はじめてまことの旅路にかかる心地せり。 今日よりは旅路の旅にかゝり
鳧 四月二十七日、晴天。風やや暖かなれば、昼食後、汽車に駕してウォータールー古....
「流言蜚語」より 著者:中谷宇吉郎
でいたら、一時間ばかりしてまた電話が来て「今のはデマだったそうだから」という話で
鳧《けり》がついた。 東京でも同じような話が沢山あったそうである。終戦から二、....
「千里眼その他」より 著者:中谷宇吉郎
してしまった名医は、案外余り感謝されないものである。 これで千里眼事件も一応|
鳧《けり》がついたのであるが、まだ問題はいくらも残っているように見える。例えば今....