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鶏犬
「鶏犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鶏犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
奇岩怪石が横仆わり、苔が一面に生えている。 寂然として人気なく、人家もなければ
鶏犬もいない。――広大無辺の死の国である。 しかし冷静に云う時は、一個巨大な洞....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に自身乗って見れば、案外乗心地が好い。青山から余の村まで三十分で来た。父が「一家
鶏犬一車上、器機妙用瞬間行」なぞ悪詩を作った。工合が好いので、帰りも自動車にした....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
のは、あらゆる「自然の音」のレコードである。たとえば山里の夜明けに聞こえるような
鶏犬の声に和する谷川の音、あるいは浜べの夕やみに響く波の音の絶え間をつなぐ船歌の....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
を食《は》ませ、死んだ時のままの衣服で町中引きずり、野中の掃溜《はきだめ》へ捨て
鶏犬の啄《つつ》き※《くら》うに任すと書いた、眼前の見聞を留めたもの故事実と見え....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
知れるという説もあったそうだ。宋の※元英《ほうげんえい》の『談藪』には道家言う、
鶏犬を先にして人を後にするは、賤者は生じやすく貴者は育しがたければなりとある。漢....
「獄中記」より 著者:大杉栄
「老子の最後から二章目の章の終りに、甘其食、美其衣、安其所、楽其俗、隣国相望、
鶏犬声相聞、民至老死不相往来という、その消極的無政府の社会が描かれてある。最初の....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
と呼ばれるところの、巫女どもの住んでいる部落であった。炊ぎの煙りが幾筋か上がり、
鶏犬の啼き声が長閑に聞こえ、さも平和に見渡されたが、しかし人影が全く見えず、いつ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
よう》な客と見たので、駕籠屋は勢いよく急がせる。そのうちに、前後でしきりに聞ゆる
鶏犬《けいけん》の声。夜は白々《しらじら》と明け放れたものと見ゆる。やがて道筋が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
じく、その煤《すす》けた天井には鼠の走る音もあるのではなく、その外壁のあたりに、
鶏犬《けいけん》の声だも起らない。周囲に谷川のせせらぎすらも聞えない。軒端を渡る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ましたが、犬の吠え方は、ついぞ聞いたことのない、鋭くして強い吠え方でありました。
鶏犬《けいけん》の声は平和のシムボルでありますけれど、鶏は時を作るものだが、犬は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
》をして甚だ美味と評しある。本朝には別所長治の三木籠城や滝川益氏の高松籠城に牛馬
鶏犬を食い、後には人まで食うたと聞くが、鼠を食うたと見えぬ(『播州御征伐之事』。....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
う。 老子の最後から二章目の終りに、甘其食、美其衣、安其居、楽其俗、鄰国相望、
鶏犬声相聞、民至老死不相往来という、その理想の消極的無政府の社会が描かれてある。....
「三国志」より 著者:吉川英治
木を草の中に余しているだけだった。秋も暮れて、もう冬に近いこの蕭々たる廃都には、
鶏犬の声さえしなかった。 でも、帝には、 「ここらが、温徳殿の址ではないか。こ....
「三国志」より 著者:吉川英治
心を広くもち、よく身を養い、内外を見ておればよいのであります。決してそれは、奴婢
鶏犬に及ばないからではなく、主の分を破り家の法に背くからです。――坐シテ道ヲ論ズ....
「どら猫観察記」より 著者:柳田国男
傾向は、実は夙くより見えて居たのであった。大体に於て両者を結合する縁の糸は、牛馬
鶏犬の如く強靱なものではなかった。人の方でもあの眼に油断せず、十分に心を許さなか....