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「鶯茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鶯茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
本間さんの頭には、今見て来た驚くべき光景が、一ぱいになって拡がっている。一等室の鶯茶《うぐいすちゃ》がかった腰掛と、同じ色の窓帷《カアテン》と、そうしてその間に....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
、千歳茶《ちとせちゃ》などがあり、色をもつ対象の側《がわ》から名附けたものには、鶯茶《うぐいすちゃ》、鶸茶《ひわちゃ》、鳶色《とびいろ》、煤竹色《すすだけいろ》....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
げた事があるの」「この御正月、白木屋へいらっしゃいまして、御求め遊ばしたので――鶯茶《うぐいすちゃ》へ相撲《すもう》の番附《ばんづけ》を染め出したのでございます....
少女病」より 著者:田山花袋
その結婚の日はいつだか知らぬが、その日は呪うべき日だと思った。白い襟首、黒い髪、鶯茶のリボン、白魚のようなきれいな指、宝石入りの金の指輪――乗客が混合っているの....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
配するものは「偶然」である。(大正十二年六月、渋柿) * 無地の鶯茶色のネクタイを捜して歩いたがなかなか見つからない。 東京という所も存外不便....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
天鵞絨を欺く緋薔薇緋芥子の緋紅、北風吹きまくる霜枯の野の狐色、春の伶人の鶯が着る鶯茶、平和な家庭の鳥に属する鳩羽鼠、高山の夕にも亦やんごとない僧の衣にもある水晶....
小鳥」より 著者:宮本百合子
とはしない。 見ても愛らしいのは、実に紅雀だ。四羽の雌と雄とが、丸い小さい紅や鶯茶の体で、輝く日だまりにチチ、チチと押しあいへしあいしているのを見ると、しかん....
農村」より 著者:宮本百合子
口に遠慮なく出させる私を、変な顔をして見た。褪紅色の地に大きな乱菊を出したのと、鶯茶の様な色へ暖い色の細かい模様を入れたのを買うと、あっちの隅でお繁婆さんは、出....
芽生」より 著者:宮本百合子
書いて見たんです。 浅草に行って その晩私は水色の様な麻の葉の銘仙に鶯茶の市松の羽織を着て匹田の赤い帯をしめて、髪はいつもの様に中央から二つに分けて....
おせん」より 著者:邦枝完二
頬をふくらまして、鼻の穴を天井へ向けた。 帯 一 祇園守の定紋を、鶯茶に染め抜いた三|尺の暖簾から、ちらりと見える四|畳半。床の間に※した秋海棠が....
随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
ょう》するところ。「八笑人」のなかのひとりがぬけだしたかと思われる鯉《り》かんが鶯茶の羽織。―― 都家歌六もそういうなかのわずかに残った、ほんとうの寄席の音曲....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
茶を運んだのも女中です。 庭で蟋蟀の鳴くのが聞える。 蔦の葉の浴衣に、薄藍と鶯茶の、たて縞お召の袷羽織が、しっとりと身たけに添って、紐はつつましく結んでいな....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
わたしは鳶八丈の綿入れに黒紋付の紬の羽織を着せられて、地質はなんだか知らないが、鶯茶のような地に黒い太い竪縞のある袴を穿いていた。元園町から人力車にゆられてゆく....