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鷹揚
「鷹揚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鷹揚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
らしく太郎のほうへ目をやったが、牛だけは、角《つの》をたれて、漆のように黒い背を
鷹揚《おうよう》にうねらしながら、わき見もせずに、のっそりと歩いてゆく。しかしと....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
際、強いことは強いですな。」
「ははあ。」
相手の顔は依然として微笑しながら、
鷹揚《おうよう》に頷《うなず》いた。幕営の外はしんとしている。遠くで二三度、角《....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
らっしゃる時に、ふとその御不満を御洩しになりました。すると大殿様はいつものように
鷹揚《おうよう》に御笑いになりながら、「そう不平は云わぬものじゃ。やがてはその譜....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
がない。人と話しをしている時は勿論、独りでいる時でも、彼はそれを懐中から出して、
鷹揚《おうよう》に口に啣《くわ》えながら、長崎煙草《ながさきたばこ》か何かの匂い....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
て、「何だい、これは」と云った。すると木村少佐は、ゆっくり葉巻の煙を吐きながら、
鷹揚《おうよう》に微笑して、
「面白いだろう。こんな事は支那でなくっては、ありは....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
したりする――それよりほかには、何もしない。はなはだ、間ののびた、同時に、どこか
鷹揚《おうよう》な、品のいいものである。僕は、人形に対して、再び、〔e'tran....
「路上」より 著者:芥川竜之介
度の強い近眼鏡の後《うしろ》に例のごとく人の好さそうな微笑を漲《みなぎ》らせて、
鷹揚《おうよう》に「やあ」と頷《うなず》いて見せた。俊助は暖炉の上の鏡を背負って....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
た。
本間さんは何だかわからないが、年長者の手前、意味のない微笑を浮べながら、
鷹揚《おうよう》に一寸《ちょっと》頭を下げた。
「君は僕を知っていますか。なに知....
「或る女」より 著者:有島武郎
とを膝《ひざ》に引きつけながら、たった一人その部屋《へや》の中にいるもののように
鷹揚《おうよう》に構えていた。偶然顔を見合わせても、葉子は張りのあるその目を無邪....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
ら》に、幅広き街路に草|生《は》えて、牛が啼く、馬が走る、自然も人間もどことなく
鷹揚《おうよう》でゆったりして、道をゆくにも内地の都会風なせせこましい歩きぶりを....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
りと見ると、目を細うして、髯の尖をピンと立てた、頤が円い。 「こちらへ、」 と
鷹揚に云って、再び済まして書見に及ぶ。 お妙は扉に附着いたなりで、入口を左へ立....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
饒舌って悪い私の名じゃない。叔父に済まない。二人とも、誰にも言うな。……」 と
鷹揚で、按摩と女房に目をあしらい。 「私は羽織の裾を払って、 (違ったような、当....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
るるような舞台の姿は、斜めに電光に颯と送られた。…… 「分っているがの。」 と
鷹揚に言って、 「さてじゃ、此方の身は果はどうなるのじゃ。」 「…………」 ふ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
太郎一笑す。 振向いて見たばかり、さすがこれには答えないで、勇美子は先に立って
鷹揚である。 三 「いらっしゃいまし。」 縁側に手を支えて、銀杏....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
うな顔をキリリと結んでいる。彼の歩みは私のようにせせこましく歩くことなしに緩々と
鷹揚な運びである。それでいて私よりも迅い。 先ず、端山の楢や櫟などの生い茂った....