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「鹿皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鹿皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二老人」より 著者:国木田独歩
った。 「イヤとてもお話にもなんにも……」とやっぱり頭をかいていたがポケットから鹿皮《しかがわ》のまっ黒になった煙草入《たばこい》れとひしゃげた鉈豆煙管《なたま....
十二支考」より 著者:南方熊楠
を雨《ふら》さんと言うに、声に応じて曼陀羅花降り下り大地震動と来た、太子すなわち鹿皮衣を解きて頭目を纏い、合手して身を虎の前に投じ母虎これを食うて母子ともに活《....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
退屈男の目を鋭く射たものは、そこに置き忘れでもしたかのごとくころがっている本場|鹿皮印伝《しかがわいんでん》の煙草入でした。中間馬丁と言えば、いかに裕福な主人に....
琴のそら音」より 著者:夏目漱石
か》で薄黒く三日月形に見える。同時に胃嚢《いぶくろ》が運動を停止して、雨に逢った鹿皮を天日《てんぴ》で乾《ほ》し堅めたように腹の中が窮窟《きゅうくつ》になる。犬....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
る河内平野の景色でもながめながら一服やることを楽しむばかりでなく、愛用する平たい鹿皮の煙草入れのにおいをかいで見たり、刀豆形の延べ銀の煙管を退屈な時の手なぐさみ....
道標」より 著者:宮本百合子
使館づきの武官だった。瀟洒として目立たない縞の背広を着て、春らしい灰色のソフトと鹿皮の手袋をもったその人の風采は、陸軍少佐とは見えなかった。彼は、クーデンホフ未....
道灌山」より 著者:宮本百合子
いた。みの一つだになきぞ悲しきと云って、娘が笠の上に花の咲いた山吹の枝をのせて、鹿皮のむかばきをつけて床几にかけている太田道灌にさし出している絵も見た。この絵は....
ワンダ・ブック――少年・少女のために――」より 著者:ホーソーンナサニエル
をパーシウスに渡すについても、少しも面倒なことは言いませんでした。第一に彼等は、鹿皮で出来ていて、変った縫取りをした、小さな財布のような物を取り出して来て、パー....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
息《いき》で曇った汽車の窓ガラスへ、指で次のような、象形文字を丹念に書きつけた。鹿皮の爪磨きで爪を磨きながら、ゆうゆうと十三世の動作を観察していたタヌは、そこで....
かなしき女王」より 著者:マクラウドフィオナ
金の黄ろい頸鎖を頸《くび》に巻き、三本の尖頭《とげ》ある黄金の輪を頭に載せ、脚は鹿皮の革紐で巻いて、赤く染めた牝牛の皮で足を包んでいた。 女の顔は蝋のように蒼....
」より 著者:マクラウドフィオナ
けないように頼むつもりで行った。 コルマックの寝室に入ると、そこにエイリイが、鹿皮の上にいた。 ダルウラは何か言おうとして、長いこと娘を見ていた。 「エイリ....
剣のうた」より 著者:マクラウドフィオナ
た。下には一人の男が背中から槍で柔らかい壁板に突き刺されていた。男の手はよじれた鹿皮を握って、首を肩に垂らしていた。そうして男は気味わるく笑った、泡が口から切り....
ウスナの家」より 著者:マクラウドフィオナ
乱れた人声が、どこかよほど遠くの方に聞える。この時、髪をふり乱した狂暴な姿の男が鹿皮の衣をまとい緊皮の脛衣を着けて、あたりを見廻しながら馳け出して樹から樹へと隠....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と思うと、この間、太股へうけた一本の小柄を細工刀として、斑竹の細い尖を切り落し、鹿皮のワキ毛をむしって、一本の細筆を作ったのである。 さて、筆はできたが、墨汁....