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「麦秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

麦秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
阿部一族」より 著者:森鴎外
びら》を負い半弓を取って、主のかたわらに引き添った。 寛永十九年四月二十一日は麦秋《むぎあき》によくある薄曇りの日であった。 阿部一族の立て籠っている山崎の....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の感じは、表側から見た暗い質素な暖簾と対照を成して土地の気質や殷富を表している。麦秋だ。一年に二度ずつ黄色くなる野面が、私達の両側にあった。既に刈取られた麦畠も....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
けねばならぬ。村の天に納める租税である。 六 六月になった。麦秋である。「富士一つ埋み残して青葉かな」其青葉の青闇い間々を、熟れた麦が一面日....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
行くお八代さんを引止めて指をさして見せました。あとから考えますとこの三番土蔵は、麦秋頃まで空倉で、色々な農具が投げ込んでありまして出入りが烈しゅう御座いますので....
映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
よりほかに全く望みはないように見える。 (昭和十年二月、高知新聞) 六麦秋 だいぶ評判の映画であったらしいが、自分にはそれほどおもしろくなかった。そ....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
なくては。 簪よ櫛よさて世はあつい事 花讃女 笄も櫛も昔やちり椿 羽紅女麦秋や櫛さへもたぬ一在所 花讃女 花讃女のとりすました悟りがましい主観の少....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
旅情の歌」と、どこか共通した詩情であって、もっと感覚的の要素を多分に持っている。麦秋《むぎあき》や何におどろく屋根の鶏《とり》 農家の屋根の上に飛びあがって、....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
きつね》ばけたり宵の春 飯盗む狐追ふ声や麦の秋 狐火やいづこ河内《かはち》の麦畠麦秋《むぎあき》や狐ののかぬ小百姓 秋の暮仏に化《ばけ》る狸《たぬき》かな 戸を....
私本太平記」より 著者:吉川英治
かれて宮の木暗がりで契ッたことと。また、も一つの体験は、御厨ノ牧へ遠乗りに行った麦秋の真昼であった。馬屋の干しワラの中で、つい牧長の小むすめと陽炎みたいに戯れ睦....