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「黐竿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黐竿の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
廻り燈籠のように通った。※《しこ》を売る声もきこえた。赤とんぼを追いまわる子供の黐竿《もちざお》も見えた。お君はうっとりとそれを眺めていると、内からお絹の弱い声....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
心当りはないんですか。一《はじめ》さんが貰うときまれば本気に捜《さ》がしますよ」黐竿《もちざお》は届いたか、届かないか、分らぬが、鳥は確かに逃げたようだ。しかし....
新生」より 著者:島崎藤村
の方の身体は鉄《かね》ですか」と丈夫な子供等に向って言暮しているという嫂の言葉、黐竿《もちざお》を手にして蜻蛉釣《とんぼつ》りに余念がないという泉太や繁の遊び廻....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
では知らないと云った。そこへ鳥さしの姿が見えたので、半七は外へ出て招くと、老人は黐竿をかかえて小走りに急いで来た。 「もし、これだけ捕って来ました」 老人は一....
食堂」より 著者:森鴎外
ょいと光った。木村は今云ったような犬塚の詞を聞く度に、鳥さしがそっと覗い寄って、黐竿の尖をつと差し附けるような心持がする。そしてこう云った。 「しかし影を見て動....
風流仏」より 著者:幸田露伴
せぬかと、今朝も仏様に朝茶|上る時|懺悔しましたから、爺が勧めて爺が廃せというは黐竿握らせて殺生を禁ずる様な者で真に云憎き意見なれど、此を我慢して謝罪がてら正直....
麦藁帽子」より 著者:堀辰雄
の間を、小さな川が流れていた。よくそこへ釣りをしに行った。お前は私たちの後から、黐竿《もちざお》を肩にかついだ小さな弟と一しょに、魚籠《びく》をぶらさげて、つい....
狐火」より 著者:豊島与志雄
かと馬が足取を早めて、そこの曲り角を曲った時、向うの人家からぱっとさす光の中に、黐竿《もちざお》を持った平吉の姿が、くっきりと浮び出した。 やあ! 夢からさ....
巷の声」より 著者:永井荷風
をかぶり、手甲脚絆がけで、草鞋をはき、腰に獲物を入れる籠を提げ、継竿になった長い黐竿《もちざお》を携え、路地といわず、人家の裏手といわず、どこへでも入り込んで物....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
女友達来てこれに加はり、親しげなる会話聞えはじむ。漁者と鳥さしと数人、網、釣竿、黐竿、その他の道具を持ちて登場し、少女等の間に交る。此等互に相挑み、相捉へ、逃れ....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
しいを意味するらしい声は、喧嘩をして地に落ちようとする時などに聴かれるが、これと黐竿で刺された時とはよく似ていても、周囲にいる雀の態度は大分ちがうから、よく聴き....