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黒い霧
「黒い霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒い霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「令狐生冥夢録」より 著者:田中貢太郎
ような叫びであった。※はもう足が縮んでしまった。 物凄い叫喚の場処はすぐきた。
黒い霧とも壁とも判らない物に四辺を囲まれた中に、血みどろになった人がうようよとい....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
人をまとめてやろうとする丹下左膳の心中、そのつらさはどんなでしょう! 四人四様に
黒い霧のような心の暁闇。 「ゲッ、おれはなんだって、こんなところに、ぼんやり立っ....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
富士はもう森林や砂礫をかなぐり捨てて熔岩の滑らかな岩盤をむきだしにしている。どす
黒い霧で、ゆく先も脚の下もよく解らない。西風に吹きつけられた水蒸気が、山の胴体を....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
、額の真中の、永い間掻き消されていた、活動的な鋭い知能の徴が、彼にかぶさっていた
黒い霧を押し分けてだんだんと現れて来た。と、その徴は再び霧に覆われ、次第に微かに....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
めたが、どうしたのだろう? 目的の秘帖はどこからも出てこない。 呆然と心にみる
黒い霧が、三人の歓喜を、一瞬に、吹き荒した。と、その時、あなたの疎林を一群の人が....
「三国志」より 著者:吉川英治
蹴ちらして、逃げる曹豹を、真二つに斬りさげてしまった。 血は七尺も噴騰して月を
黒い霧にかすめた。満身の汗となって、一斗の酒も発散してしまったであろう張飛は、ほ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
暗かった。社は小さい。祈願が行われるあいだ、万余の兵は村道から森にあふれ、粛と、
黒い霧の下に濡れ沈んでいた。 禰宜(神職)の振る鈴の音、かすかな燎火、そして拍....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
した。尊澄は、暮れぬうちにと、姉宮の門を辞して行った。巷は、白い霧だった。それが
黒い霧に変ってゆく頃、都の夕は、俄なうごきをひそかにしていた。 御車でなく、鳳....