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黒山
「黒山〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒山の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
声器を目懸けて、かけ出して行った。 パン屋の軒先は、附近の下層階級の代表者が、
黒山のように、だが水をうったように静粛に、アナウンサーの読みあげる臨時ニュースに....
「海底大陸」より 著者:海野十三
るぞ。――魚あみおろせエ」 ザンブと、大きなあみは船尾から海中に投げこまれた。
黒山のように上層の甲板に集まって見物していた船客たちは、一度に手をたたいた。 「....
「火星探険」より 著者:海野十三
見せた。すると、またどくどくと鼻血が流れて服をよごした。そのまわりには町の人々が
黒山のように集まって来て、わいわいいい出した。デニー博士はいよいよあわてて、「お....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
蛙が化けたわ、化けたわと、親仁が呵々と笑ったですが、もう耳も聞えず真暗三宝。何か
黒山のような物に打付かって、斛斗を打って仰様に転ぶと、滝のような雨の中に、ひひん....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
示が、島内隈なく貼りだされると、人心は鼎のようにわきたった。どの告示板の前にも、
黒山のような人だかりだった。 「賞金二万ポンドだって? うわーっ、おっそろしい大....
「空襲警報」より 著者:海野十三
いえないことだけれど、実は、いま新宿駅のそばを通ってきたんですがね、駅のところは
黒山の人なんで……」 「
黒山の人? 喧嘩か、流言か」 「まァ流言の部類でしょうね....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
停車場などと、宿場がって済してはおられぬ。川留か、火事のように湧立ち揉合う群集の
黒山。中野行を待つ右側も、品川の左側も、二重三重に人垣を造って、線路の上まで押覆....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
上に、海を青畳にして二人で半日。やがて朝日館へ帰る、……とどうだ。 旅籠の表は
黒山の人だかりで、内の廊下もごった返す。大袈裟な事を言うんじゃない。伊勢から私た....
「露肆」より 著者:泉鏡花
の、そうしたのは有触れたが、長外套に茶の中折、髭の生えた立派なのが居る。 辻に
黒山を築いた、が北風の通す、寒い背後から藪を押分けるように、杖で背伸びをして、 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
奴等だ、それをお前こっちへ掴んでるからうっかり手出ゃならねえやな。堂の中は人間の
黒山が崩れるばかり、潮が湧いたようになってごッた返す中を、仏様を振廻しちゃあ後へ....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
た。大きな船は、荒れる海の上をゆられゆられ、とぶように走りました。うしおが大きな
黒山のようにたかくなって、マストの上にのしかかろうとしました。けれど、船は高い波....
「競馬」より 著者:犬田卯
った。見るとそこには勝負ごとに、熱狂し狂乱して、押し合い、へし合いしている人間の
黒山、潮の差し引きがあった。勝った人間の顔は汗と埃りにまみれながらも太陽の如くか....
「山吹」より 著者:泉鏡花
奥の院十八軒の若い衆が水干烏帽子だ。――南無大師、遍照金剛ッ! 道の左右は人間の
黒山だ。お捻の雨が降る。……村の嫁女は振袖で拝みに出る。独鈷の湯からは婆様が裸体....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
け勘が渋団扇を屹とさして、見合って、見合ってなんて遣ったんですって。 表も裏も
黒山のような人だかりだろうじゃありませんか。 晴の勝負でさ。じりじりと寄合って....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
らない。 いっぽう、宿屋のまえは、ものめずらしげにあつまってきた村の人びとで、
黒山の人だかりになっている。 フィアレンサイドは、その人たちを相手に、さっきの....