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「黒血〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒血の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
白犬が一頭、たかうすびょうの矢に腹を縫われて、苦鳴と共に、横に倒れる。見る間に、黒血がその腹から、斑々《はんぱん》として砂にたれた。が、犬に続いた一人の男は、そ....
或る女」より 著者:有島武郎
目は尋常に眉《まゆ》の下にあるが、一方のは不思議にも眉の上にある、その男の額から黒血がどくどくと流れた。男は死んでも物すごくにやりにやりと笑い続けていた。その笑....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
なさりませ……」 凄婉《せいえん》な笑《え》みを見せると、岩路はほどたたぬまに黒血を吐きながら、父助宗の行くえと八束穂槍《やつかほやり》の行くえを永遠のなぞに....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ろりと一|瞥《べつ》するや、まさにその途端です。 「はて、いぶかしい。魚が口から黒血を吐きおるぞッ」 「えッ、黒血でござりますとな!?」 「みい! 尾鰭《おひれ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
る奇怪! なんたる凄惨《せいさん》! ――河童権は口からいっぱい、どろどろの黒血を吐きながら、すでに変死を遂げていたからです。それもちゃぶ台の上には飲みさし....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
様にして、線路と平行に、薄く雪の積った地面の上に俯伏に倒れていた。真白な雪の肌に黒血のにじんだその頭部の近くには、顎紐の千切れた従業員の正帽がひとつ、無雑作に転....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
分欠けて、中の脳味噌と両方の眼玉が何処かへ飛んでしまい、眼窩から頭蓋腔を通して、黒血のコビリ着いた線路の砂利が見えます。――でもその眼玉のガラン洞になった半欠の....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
さ。所が、小式部さんの首には、下締が幾重にも回されていて、その両側には、身体中の黒血を一所に集めたような色で、蚯蚓腫れが幾筋となく盛り上がっている。したが、不思....
俊寛」より 著者:倉田百三
拾おうとしたことまで彼らは語りました。その時清盛がまたけったので父は鼻柱が砕けて黒血がたれた。その時清盛は二人の武士に命じて左右から父の手を捕えて地べたにねじ伏....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
二人はほっとした。 竜次郎は不図小虎の方を見て吃驚した。女の手足の数ヶ所から、黒血をだくだくと吹出しているのだ。扨は小刀の切先が当って傷を付けたかと思ったのだ....
「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
リンの鑑別に携ったことを書いて後、死体の状態を記述して精細を極めている。「顔には黒血がにじんでいた。その血の中には、口から出た血も混っていた。ただの溺死者の場合....
活人形」より 著者:泉鏡花
と高田を誘い内に入りぬ。 八蔵は泰助に恨あれば、その頭蓋骨は砕かれけん髪の毛に黒血|凝りつきて、頬より胸に鮮血迸り眼を塞ぎ歯を切り、二目とは見られぬ様にて、死....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の贄の置卓を、場所に据えて置け。 銀の台の縁に、光るように鉄を置け。 気味の悪い黒血の汚を洗うのだから、 水瓶を一ぱいにして置け。どうせ直に 首と胴とは離れるの....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ようだよ」 巡礼「突飛ばされた時に石へ膝を突掛けましたので」 かぢ「おう/\大層黒血が流れる、私の宅はツイ一軒|隔いて隣だが、直に癒る宜い粉薬が他処から貰って来....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
半頃へ直ぐ上の尾根から押し出した凄まじい赭岩の大崩落が、山の心臓から搾り出された黒血のように雪渓の中央を流れている。阿部木谷の源であろう。白い雲の塊が後ろから肩....