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黒風
「黒風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒風の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
病を待ちし浪子の心なりけれ。今は恐ろしき沈黙はすでにとく破れて、雷鳴り電ひらめき
黒風吹き白雨ほとばしる真中に立てる浪子は、ただ身を賭して早く風雨の重囲を通り過ぎ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
向ってなすりつけてしまいました。湖面が青天白日の平和な光景である限り、沿岸だけが
黒風白雨の天気に支配されるというはずはない。然《しか》るにこの小法師は、かくも平....
「俊寛」より 著者:倉田百三
の言葉をもっと自信をもって言ってくだすったら! 康頼 法華経の中にも入於大海仮使
黒風吹其船舫飄堕羅刹鬼国其中一人称観世音菩薩名者是諸人等皆得解脱羅刹之難とかいて....
「こがらし」より 著者:岩本素白
だ。話は昔の中国の偸盗説話に繋るような狡智をきわめた手段を用いたもので、それは、
黒風吹きすさみ、人々も家の戸を閉じて居たような日に行われた面白い話であった。私は....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
しりながら、自分は、原士の四、五人を拉して反対の向う岸へ廻った。 で――一陣の
黒風は、橋上からふたつに別れ、広からぬ猫間川を中にはさんで水の行方に添って疾走す....
「三国志」より 著者:吉川英治
朱雋の兵は、敵の妖術にも恐怖したが、張飛の蛇矛にはなお恐れて、やむなくわっと、
黒風へ向って前進しだした。 その日は、天候もよくなかったに違いないが、戦場の地....
「三国志」より 著者:吉川英治
望者が名のりでた。 その中から十名だけの壮丁を選んで、風の夜を待った。 無月
黒風の夜はやがて来た。 油布、脂柴などを、壮丁の背に負わせて、陳武も身軽にいで....
「三国志」より 著者:吉川英治
った。寝殿は毎夜、不夜城のごとく灯をともし、昼も夜も、侍臣は眠らなかったが一陣の
黒風がくると、呉城全体があやしく揺れおののくばかりだった。 「この城中では眠れな....
「三国志」より 著者:吉川英治
好な的を競わせたが、この日の風浪は、この時には孫権の僥倖となって、矢はことごとく
黒風白沫にもてあそばれ、ついに彼の身にまでとどく一矢もなかった。 その上、いよ....
「三国志」より 著者:吉川英治
の利の悪い危地へ取り籠められた。血路をひらいて遁れようとすると、四方から石が飛び
黒風が捲いてきた。そして右の山から周泰、左の渓流から韓当、うしろの谷から馬忠、潘....
「三国志」より 著者:吉川英治
人の面は、たちまち白蝋の如く化して、閉じた睫毛のみが植え並べたように黒く見えた。
黒風一陣、北斗は雲に滲んで、燦また滅、天ただ啾々の声のみだった。 孔明の死する....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
途を見とどけ、その後に、水分へ帰ろうよ。さしたる廻り道ではない」 しかし、この
黒風白雨である。先の三名は早や影すら見えない。 ただやがて、行く先々の野路や郷....