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黙礼
「黙礼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黙礼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
そこで俊助も已《や》むを得ず、曖昧《あいまい》な微笑を浮べながら、角帽を脱いで
黙礼した。が、藤沢は、俊助の世慣れない態度とは打って変った、いかにも如才《じょさ....
「或る女」より 著者:有島武郎
うにすばしこく隔意のない顔を見せたには違いなかろうけれども。葉子は一言もいわずに
黙礼したまま二人《ふたり》に別れて部屋《へや》に帰った。
室内はむっとするほど....
「星座」より 著者:有島武郎
瀬は冗談じゃないぞと心の中でつぶやきながら急場で踏みこたえた。そして杯にちょっと
黙礼するような様子をして手を引きこめた。
「あら」
「味が変っているといけないと....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
てもらった。その水をのんで、玉藻はようよう我に返ったらしく見えたが、それでもただ
黙礼するばかりで、ひと言も口へは出なかった。人びとに挨拶して別れて、千枝太郎は玉....
「世相」より 著者:織田作之助
とはなく、「ダイス」のマダムをねらっているらしかった。 私を見ると、顎を上げて
黙礼し、 「しんみりやってる所を邪魔したかな」とマダムの方へ向いた。 「阿呆らし....
「ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
まお帰りでありますか」 不意に声をかけたのは、裏門を守る宿直の守衛だった。私は
黙礼をして、門をくぐった。 「そうだ、先生が地球を飛びだされたのも、こんな寒い夜....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
金を払って駕籠屋を帰して、これも店口の床几に腰をかけたが、半七らと顔をみあわせて
黙礼した。 「お駕籠でしたかえ」と、庄太は声をかけた。 「あるくつもりでしたが、....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
おろしてなかったので、車上の人が彼の老女であることはすぐに判った。老女はわたしに
黙礼をして通った。 三浦老人の家は往来筋にあたっていないので、その横町へまがる....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ら返事をする人が多い。男は勿論、女でさえも洗面所で顔をあわせて、お早うはおろか、
黙礼さえもしないのがたくさんある。こういう人たちは外国のホテルに泊まって、見識ら....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
「夜風に長く吹かれない方がいい。」 T君から注意されて、娘たちはうやうやしく
黙礼して引っ返して行った。女三人は、初めから一度も口を利かなかったが、画燈のかげ....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
遠く離れた隅の方の席に腰をおろした。 それでも二人はわたしを見付けて、遠方から
黙礼した。わたしも
黙礼した。さりとて馴れなれしく其の近所へ席を移すわけにも行かな....
「温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
をする人が多い。男はもちろん、女でさえも洗面所で顔をあわせて、お早ようはおろか、
黙礼さえもしないのが沢山ある。こういう人たちは外国のホテルに泊って、見識らぬ人た....
「野ばら」より 著者:小川未明
。その軍隊はきわめて静粛で声ひとつたてません。やがて老人の前を通るときに、青年は
黙礼をして、ばらの花をかいだのでありました。 老人は、なにかものをいおうとする....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
人と私は毎日のように顔を見合せていたので、別段改って紹介はされなかったが、お互に
黙礼位は仕合うようになっていた。彼は有名な天光教の総務で、また学者としても世間に....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
反らせて、ホールの中を踊り歩いているうちに、幾度も浮墨色の女と廻り合った。最初は
黙礼を、次ぎには微笑を、終いには眼で合図するほど親しくなった。その眼がまたよく物....