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「黯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
うに熱く目にたまったままで流れずにいる涙を、ハンケチでぎゅっと押しぬぐいながら、然《あんぜん》と頭をたれた木村に、 「もうやめましょうこんなお話。こんな事をい....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
当てつ。ふとかたわらを見れば、漾々《ようよう》たる霞が池は、霜の置きたるように微《ほのぐら》き月影を宿せり。 白糸の眼色《めざし》はその精神の全力を鍾《あつ....
泥濘」より 著者:梶井基次郎
分|非道《ひど》かったということで、自分はその時の母の気持を思って見るたびいつも然《あんぜん》となった。友達はあとでその時母が自分を叱った言葉だと言って母の調....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
、てっきりぼく達のことについて、なにか言われたのではないかと、勝手な想像をして、然《あんぜん》となったのです。おまけに、そのとき、あなたはぼくが逢《あ》ってか....
蘆声」より 著者:幸田露伴
また黙った。 今日も鮒を一|尾ばかり持って帰ったら叱られやしないかネ。 彼は然とした顔になったが、やはり黙っていた。その黙っているところがかえって自分の胸....
槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
て白い雪が、涎懸けのように半月形をして、その根元の頸を巻いている。雪の下からは蒼い偃松が、杉菜ほどに小さく見えて、黄花石楠花は、白花石楠花に交って、その間にち....
田舎教師」より 著者:田山花袋
いかれる身なんですから」こう言って、自分の田舎寺に隠れた心の動機を考えて、主僧は然とした。 「世の中は蝸牛角上の争闘――私は東京にいるころには、つくづくそれが....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
き音は何の妨げともならぬぞ嬉しい。 かくてぞ漸くに暮れ行く空の、コバルトの色|みて、やがて暗く、かは誰の人顔も定かならぬ折柄、椽近く座を占めて仰ぐ軒端に、さ....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
松は、仰向けに川の方へ身を反らして、水と頷ずき合って、何か合図をしている。崖下のい水も、何か喚きながら、高股になって、石を跨ぎ、抜き足して駈けている。崖の端に....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
割り込んで行くのである、初夏の青が緑になり、緑の上にも年々の黒い緑が塗られて、蒼い葉で丸く塊まった森は、稀に入って来る人間を呑み込んで、その蒼い扉をぴったりと....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
しかしまた振り返って自分等が住んでいた甲斐の国の笛吹川に添う一帯の地を望んでは、然としても心も昧くなるような気持がして、しかもその薄すりと霞んだ霞の底から、 ....
文化祭」より 著者:坂口安吾
たのむ我々の不幸がそこにあるワケです。思えば、実に、そういう次第です」 信二は然と目を閉じて瞑想する。政界の大物の答弁よりもワケがわからない。しかし彼は語る....
麻酔剤」より 著者:田中早苗
の家へ飛んでゆきました。 彼女は床づいていて、真蒼な不安な顔をして、眼のふちがずんで鼻が尖がり、唇は乾ききって、髪はぐったりと崩れていました。すべての様子が....
九月四日」より 著者:岡本綺堂
れ果てたものである。夏草や兵者どもの夢の跡――わたしも芭蕉翁を気取って、しばらく然たらざるを得なかった。まことに月並の感想であるが、この場合そう感じるのほかは....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
皇帝、 その皇后、 手札形の真鍮縁のその御真影こそはあわれであった。 私は然とした。 「撮影さしてください、ね、いいでしょう。」 医専の美少年のMがし....