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鼓草
「鼓草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼓草の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
雛――女夫雛は言うもさらなり。桜雛、柳雛、花菜の雛、桃の花雛、白と緋と、紫の色の菫雛。鄙には、つくし、
鼓草の雛。相合傘の春雨雛。小波軽く袖で漕ぐ浅妻船の調の雛。五人囃子、官女たち。た....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
った帰り途、円い竹の埒に掴って、御覧なすった事もありましょう。道々お摘みなすった
鼓草なんぞ、馬に投げてやったりなさいましたのを、貞造が知っています。 阿母が死....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
って……襟肩で、少しばかり、極りが悪いか、むずむずしながら、姉が二本、妹が一本、
鼓草の花を、すいと出した。 「まあ、姉ちゃん。」 「どうも、ありがとう。」 私....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
並木の随処に相触れては、狩野川が綟子を張って青く流れた。雲雀は石山に高く囀って、
鼓草の綿がタイヤの煽に散った。四日町は、新しい感じがする。両側をきれいな細流が走....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
からぬ膚を黒く輝く、吾が天女の後光のように包むを見さい。末は踵に余って曳くぞの。
鼓草の花の散るように、娘の身体は幻に消えても、その黒髪は、金輪、奈落、長く深く残....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
で静なことはあるまいと思う。たとい地理にしていかなりとも。 ――松島の道では、
鼓草をつむ道草をも、溝を跨いで越えたと思う。ここの水は、牡丹の叢のうしろを流れて....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を左に、三枚橋、山下、入谷を一のしに、土手へ飛んだ。……当時の事の趣も、ほうけた
鼓草のように、散って、残っている。 近頃の新聞の三面、連日に、偸盗、邪淫、殺傷....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
俤は、几帳に宿る月の影、雲の鬢、簪の星、丹花の唇、芙蓉の眦、柳の腰を草に縋って、
鼓草の花に浮べる状、虚空にかかった装である。 白魚のような指が、ちょいと、紫紺....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
見ると、こはいかに、大粒な雨が、一粒ずつ、粗く、疎に、巨石の面にかかって、ぱッと
鼓草の花の散るように濡れたと思うと、松の梢を虚空から、ひらひらと降って、胸を掠め....