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鼻歌
「鼻歌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻歌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
。それが今は――
と、たれか、彼の苦しみも知らないように、灯《ひ》の陰で一人、
鼻歌をうたう者がある。
いたち笛ふき
猿《さる》かなず
いなごまろは拍子うつ
....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
夫の家族が武具《えもの》を持って畑に出た。自然に歯向う必死な争闘の幕は開かれた。
鼻歌も歌わずに、汗を肥料のように畑の土に滴らしながら、農夫は腰を二つに折って地面....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
野が言った時、アパートの階段を登る足音が、 「見よ、東海の朝帰り……」 という
鼻歌と一緒に聴えて来た。 三 「坂野さん」 京吉は部屋の前まで来ると、馴々しい....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
、猿飛佐助の道中だ」 という洒落が出て来ると、もう憂鬱はけし飛んで、得意満面の
鼻歌まじりに、大空を飛んで行った。 そして、九州を過ぎ、中国筋を飛び、大坂、京....
「わが町」より 著者:織田作之助
時、君枝は、 「――ここは地獄の三丁目、往きは良い良い、帰りは怖い」 などと、
鼻歌をうたった。そして、水道端では、 「うち到頭出戻りや」 と、自分から言いだ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
が右往左往していた。重そうな荷を積んだ荷馬車の馬の手綱を引いて、輓子は呑気そうな
鼻歌を歌いながら、彼の前を通り過ぎた。水溜りでもぬかるみでもお関いなしにガタビシ....
「旅行の今昔」より 著者:幸田露伴
海陬山村にも文明の威光を伝える為に、旅客は何の苦なしに懐手で家を飛出して、そして
鼻歌で帰って来られるようになりました。其の代りに、つい二三十年前のような詩的の旅....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
の砲艦に乗っていたのだが、満期になって国へ帰るのだった。始終一緒になって、何かの
鼻歌を歌いながら、デッキの上を散歩していた。その中に一人、いつもみんなとは別にな....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
れ丈ケは旅宿に帰るべしといって其晩は夜食の膳の上、一酌の酔に浮れてそゞろあるき、
鼻歌に酒の香を吐き、川風寒き千鳥足、乱れてぽんと町か川端あたりに止まりし事あさま....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
蔵は海と空との世界に呼吸する一年余りにてよく飲みよく語り高く笑い拳もて卓をたたき
鼻歌うたいつつ足尖もて拍子取る漢子と変わりぬ。かれが貴嬢をば盗み去ってこの船に連....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
馬隊の兵士が踵に届く長剣を左手にさげて早足に巷を上りゆく、続いて駄馬|牽く馬子が
鼻歌おもしろく、茶店の娘に声かけられても返事せぬがおかしく、かなたに赤児の泣き声....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
捲き上げようとしたんだろう!」 又、匕首を揮うのであるが、腰をかけたり佇んだり
鼻歌をうたったり囁いたり、笑ったりしている悪漢どもは、 「何を坊ちゃんが云いおる....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
の裾に寝たりして、意外にたくさんの人間がいた。 この時二三人の者が嗄れた声で、
鼻歌をうたうのが聞こえてきた。 秩父の郡小川村 逸見様庭の桧の根 むかしはあった....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
てしまった。いったい俺たちが、五人そろって貧乏のどんづまりに引きさがりながらも、
鼻歌まじりで勇んで暮らしているのは、誰にもあずけておけない仕事があるからだ。その....
「わが町」より 著者:織田作之助
団の綿を打ちなおしたりした。ひとり者の〆団治の家の掃除もしてやり、そんな時君枝は
鼻歌をうたい、水道端では、 「うち出戻りやねん。」 と、自分から言いだして、け....