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鼻翼
「鼻翼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻翼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「乞食学生」より 著者:太宰治
鬚《ひげ》も無いが、でも狭い額には深い皺《しわ》が三本も、くっきり刻まれて在り、
鼻翼の両側にも、皺が重くたるんで、黒い陰影を作っている。どうかすると、猿のように....
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
十枚ばかり。そのあとがつづかないのです。」煙草を指先にはさんだままてのひらで両の
鼻翼の油をゆっくり拭《ぬぐ》った。「刺激がないからいけないのだと思って、こんな試....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
《ほぐ》れていって、彼女の眼にキラリと紅《あか》い光が瞬《またた》いた。すると、
鼻翼《こばな》が卑しそうに蠢《うごめ》いて、その欲情めいた衝動が、渦のような波動....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人だった。無髯で赭丹色をした顔には、顴骨突起と下顎骨が異常に発達している代りに、
鼻翼の周囲が陥ち窪み、その相はいかにも醜怪で――と云うよりもむしろ脱俗的な、いわ....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
ら終りまで全部、夢のようで、どうしても、事実この世に起ったできごととは思われず、
鼻翼の油を手のひらで拭いとりながら、玄関に出てみた。きのうの郵便屋さんが立ってい....
「虎狩」より 著者:中島敦
を見返した彼の顔付は――その面皰《にきび》のあとだらけな、例によって眼のほそい、
鼻翼《びよく》の張った、脣の厚い彼の顔は、私の、繊細な美を解しないことに対する憫....
「鸚鵡のイズム」より 著者:寺田寅彦
に自国語を話し、その上独、仏、羅、希にも通ずるようになった。指先を軽く相手の唇と
鼻翼に触れていれば人の談話を了解する事が出来る。吾々の眼には奇蹟のような女である....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
しまい、忽ち顔の尺に提灯が畳まれて行くのだ。そうなると、その大|※の頂上が、全く
鼻翼の裾に没れてしまって、そこと鼻筋の形とが、異様に引き合い対照を求めて来る。そ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
っとも、これは梅本がよくよく観察したところによると、鼻のつけ根に急に横皺がより、
鼻翼がつり上り気味にふくらむだけのことだったが――手をやたらに横にふって答えた。....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
闘い続けている。そのためか、暁子の容姿からは女らしさが失せていて、眼は落ち窪み、
鼻翼には硬い肉がついて、何かしら、冷酷な感情と狂熱めいた怖しさを覚えるのだった。....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
の相貌を現わしている。それに反して唇は感覚的に膨れ上がり鼻より先に突き出ている。
鼻翼ばかりが拡がって全然鼻梁のない畸形の鼻は眼と口の間に延び縮みして護謨細工の玩....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
囁いた言葉――張り切って、艶やかな四肢、閉じている眼瞼のうるおい、喘ぐ呼吸に動く
鼻翼《こばな》、少し開いた脣と、歯。ひそめた眉の媚めかしさ――月丸は、一生をかけ....
「金狼」より 著者:久生十蘭
に葵をつかまえる。その近くで、白痴面が、れいの眼玉をたえずギョロギョロと動かし、
鼻翼をふくらませながら、夢中になって無益な身動きをつづけているさまは、なんといっ....
「犂氏の友情」より 著者:久生十蘭
よくまくしたてた。少なくとも表面はそう見えたのである。 青前掛のゴオルキイは、
鼻翼《こばな》をふくらませて、ふうん、と嘶《いなな》いてから、 「おめえは、あの....
「九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
異様な魅力を以て光っている。下眼瞼の下に厚い脂肪層が一度陰影を作り、それから直ぐ
鼻翼の上の強いアクサンとなる。此の目玉に隈を入れて舞台で彼が見得を切る時、らんら....