鼻腔[語句情報] »
鼻腔
「鼻腔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻腔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
蛮な音響を巻き起し、口腔をだらしもなく虚空《こくう》に向けて歯をむき出し、二つの
鼻腔から吐き出す太い二本の煙の棒で澄明な陽光《ひかり》を粉砕した。私は、こんな物....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
ままに顔を見るとそれはもう末期にちかい癩患者で、眼も鼻も毛髪もまったくなく、口と
鼻腔だけが無気味な闇黒をのぞかせていた。顔の色はところによって勝手に変色したり褪....
「冬日記」より 著者:原民喜
むきだ》しで晒《さら》されるのであった。 ――その夜、睡《ねむ》ろうとすると、
鼻腔《びこう》にものの臭《にお》いがまだしつこく残っているのを彼は感じたが、たし....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
ぬらついて吹出物が目立ち、口をあくごとに二つの小鼻が拳骨《げんこつ》のように怒り
鼻腔が正面を向いた。そして笑ったかとおもうと、その瞬間に笑いの表情は消え失せて、....
「戦場」より 著者:夢野久作
そうな気持になって来た。何とも感じなくなっていた屍臭と石油臭が、俄に新しく、強く
鼻腔を刺戟し初めた……が……そのまま無理に平気を装って、軍医大佐の背後に突立って....
「S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
遊行を起したりする事があるのです。東作自身の翌朝の身神の疲労、倦怠、頭痛、口中や
鼻腔の異臭、不快味なぞは皆、こうした推理を裏書きにしている事になりますので、結局....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
お手紙は本当にいい手紙です。何だか酸素のたっぷりした空気、オゾンのゆたかな空気が
鼻腔から快く流れ入るような感銘です。これはほんとにいい手紙です。
そして、それ....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
、これは明らかに純粋な味覚でもなく、そうかと云って普通の嗅覚でもない。舌や口蓋や
鼻腔粘膜などよりももっと奥の方の咽喉の感覚で謂わば煙覚とでも名づくべきもののよう....
「帝展を見ざるの記」より 著者:寺田寅彦
夏休みが終って残暑の幾日かが続いた後、一日二日強い雨でも降って、そしてからりと晴れたような朝、清冽な空気が
鼻腔から頭へ滲み入ると同時に「秋」の心像が一度に意識の地平線上に湧き上がる。その....
「錦紗」より 著者:犬田卯
で道の片側へ避け、吹きかけられる埃を予想してハンカチを懐から引っ張り出し、そして
鼻腔を抑えた。 「お通ちゃん、どこサ行ぐのよ。」 濛々たる砂塵を捲き立てて走り....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
持って来て受けました。私は左を下にして横わったまま咯きましたが、勢い余った血液は
鼻腔の方からも突き出されて来て、顔の下半分はねばねばしたもので塗りつぶされました....
「その人を知らず」より 著者:三好十郎
怖と脅威の入れまじった、低く押しころした早口でしゃべる課長の顔の、ふくれあがった
鼻腔やブルブルふるえる頬のシワまでハッキリと見える。(クローズ・アップ)義一のシ....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
鼻を鳴らして答えた。ついでだから説明しておくが、鼻垂先生とあだ名のついた理由は、
鼻腔膜炎で、鼻の手術を受けた後、毎日ハンカチを五枚も換えるくらい、鼻涎を垂れるか....
「澪標」より 著者:外村繁
離すと、鮮血が流れ落ちて、着衣を汚す。既に私の顔の皮膚は黒褐色に焼け爛れ、やがて
鼻腔や、眼窩からも出血するようになる。しかし私のそんな幽鬼のような顔を見る妻の顔....
「落日の光景」より 著者:外村繁
行く。その後から、先刻の担送夫が、男の患者を乗せた運送車を押して来る。その患者の
鼻腔には管が差し入れられているのが見える。二人の担送夫は運送車から担架を持ち上げ....