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「龕灯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

龕灯の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
うと出た。姉は驚いて身を後《あと》へ退《ひ》いた。その隙《ひま》に、覆面をした、龕灯提灯《がんどうぢょうちん》を提《さ》げた男が、抜刀のまま、小《ち》さい潜戸か....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
鞘を後へ投げて、足で行灯を蹴った。 が、行灯が消えると同時に、山田が持っていた龕灯の光が室内を照した。 小泉は、広い庭に面した雨戸を、ガラリガラリと開けた。....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
それからほどなく、闇の中を点のような赭い灯が動いていったと云うのは、法水等が網龕灯を借りて、野菜園の後方にある墓地に赴いたからだった。その頃は雪が本降りになっ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
いるのが、この部屋の唯一の音であった。 この部屋全体を照らすための、一個大型の龕灯が、天井から鎖で釣り下げられてあったが、その光は白味を帯び、晄々という形容詞....
黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
びる》をもれるのは「あのいまいましい虫めが」という言葉だけであった。私はというと龕灯《がんどう》(9)を二つひきうけたが、ルグランは例の甲虫だけで満足していて、....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
走るように近寄って来た。火の玉が闇を縫うようであった。窩人達の側まで来た。それは龕灯の火であった。龕灯の持ち主は老人であった。窩人の長の杉右衛門で、杉右衛門の背....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
看板に真鍮巻の木刀を差した仲間体の男が、四尺四方もある大きな早桶を荷いで、跡から龕灯を照しました武士が一人附きまして、頭巾|面深にして眼ばかり出して、様子は分り....
故郷」より 著者:豊島与志雄
堤を走った。夜になると、その河の浅瀬に、投網に連れていって貰った。鮎や鮠や鮒が、龕灯の光を受けてぴちぴちはねた。七夕の日には、朝早く、蓮の葉にたまった露を、硯の....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
高めた。 「ところでちょっと思い出したが、こんな天気では馬車で来るにきまってる。龕灯《がんどう》をつけて、それを持って下に行け。下の戸の後ろに立っているんだ。馬....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
て旗の上に射《さ》すようになっていた。街路も防寨も闇の中に沈んでいて、この大きな龕灯《がんどう》で恐ろしく照らされた赤旗のほかは、何にも見えなかった。 その光....
四十八人目」より 著者:森田草平
もの、たとえば槍、薙刀、弓矢の類を始めとして、斧、鎹、玄能、懸矢、竹梯子、細引、龕灯提灯、鉦というようなものは、かねてその用意をして平間村に保管してあるから、明....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
にひとりずつ。 「おお、駕籠屋か、面を見せろ」 月あかりがあるのに、いきなり袂龕灯《たもとがんどう》で照しつける。 「どうぞ、ご存分に」 「やかましい。どこへ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
温和《おとな》しい男なんですが、生れつき夜眼が見え、まっ暗がりの土蔵なんかでも、龕灯《がんどう》いらずに物もさがせば細かい仕事もするという奇態な眼を持っているの....
天狗外伝 斬られの仙太」より 著者:三好十郎
らボーッと丸い明かりが差し、次第に強くなる(峠の方から登って来る人の手に持たれた龕灯の光)。ガサガサと人の足音。 声 ……(中音に吟じながら)君不見漢家山東二....