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器物
「器物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
器物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
竜象《りゅうぞう》数を知らず並み居られるには相違ない。が、鼠に抛《なげう》つにも
器物《うつわもの》を忌《い》むの慣い、誰かその方如き下郎《げろう》づれと、法力の....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
云うてやった時彼は懇《ねんごろ》に返事をよこして、楽しんで待ってる。君の好きな古
器物でも席に飾って待つべしとまで云うてよこしながら、親父さんだって去年はあんなに....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ずつことごとく提灯を持って立った。消毒の人夫は、飼料の残品から、その他牛舎にある
器物のいっさいを運び出し、三カ所に分かって火をかけた。盛んに石油をそそいでかき立....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
したのか分らなかった。忽ち室内の電灯はサッと消えて、暗黒となった。阿鼻叫喚の声、
器物の壊れる音――その中に嵐のように荒れ狂う銃声があった。正面と出口とに相対峙し....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
、これだけの工場がいるんです」生活必需品の工場ばかりだった。家具をこしらえたり、
器物をつくったり、紙や衣料をこしらえている。食物の加工をする工場も、たくさんあっ....
「金属人間」より 著者:海野十三
うか、それとも針目博士に味方すべきであろうかと。 針目博士は、はじめのうちは、
器物《きぶつ》を投げることを控《ひか》えていた。しかし相手がむちゃくちゃにそれを....
「火星探険」より 著者:海野十三
、ひゅうんと呻《うな》ってすごい速力で飛び交う塵塊があった。それは艇内の大切なる
器物を片端からうちこわしていった。 乗組員たちは唯も自分の仕事の場所を守ること....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
接の援助を与えてくれた、二三の人達だけでした。それだけでも、私共の狭い家と乏しい
器物では多すぎるのでしたが、さらに二人のお客がふえたことは大変な番狂わせになりま....
「銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
のは、当時の読売新聞社と大倉組との間あたりにこの舶来屋がありました。尤もこの店は
器物食器を主に売っていました。それから大倉組の処からもう少し先き、つまり尾張町寄....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
でまたじっと見澄ましていると白鉢巻、白兜の人が大勢いて、次から次へと箱を持出し、
器物を持出し、秀才夫人の寧波寝台をもち出したようでもあったがハッキリしなかった。....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
は僕も亦能くせざる所なり。僕問う。「君はなぜ賄征伐をしない?」恒藤答う。「無用に
器物を毀すのは悪いと思うから。――君はなぜしない?」僕答う。「しないのじゃない、....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
の湯は美食が唯一の目的ではないは誰れも承知して居よう、人間動作の趣味や案内の装飾
器物の配列や、応対話談の興味や、薫香の趣味声音の趣味相俟って、品格ある娯楽の間自....
「三人の師」より 著者:上村松園
あのような荒々しいやり方の先生をその後見たことはない。 刷毛を厭われたと同様に
器物をつかって物の形をとることも極度にいやがられた。 たとえば月を描く場合でも....
「迷信解」より 著者:井上円了
話が『怪談弁妄録』と申す書物の中に見えておる。「昔、京都の里村某なるものの家にて
器物を失いたることありて、いろいろ手を尽くして捜索すれども見当たらず。しかるに、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
り、一望凄然たり。ただ海鵝の波頭に舞うを見るのみ。今日食卓にワクをはむるも、なお
器物転倒を免れず。甲板上には両側波よけをつけ、中間に縄を張り、歩するものをしてこ....